キッチンカーで営業するうえで必ず必要となってくる「電源」。
確保する方法は、
①出店場所で借りる ➁発電機を使う ③走行充電器でバッテリーに充電する ④自宅でポータブル充電器に充電する |
この記事では、それぞれの特徴やデメリットを解説するので、自分に合った電源確保の方法を見つけてさいね。
【大前提】キッチンカーではあらゆる設備に電源が必要
キッチンカーによる移動販売をするためには、電源の確保が欠かせません。
まずは実際にどのような状況で電源が必要になるのかを見ていきましょう。
電源が必要な機器
調理など移動販売の運営に関係する機器を使うためには電源が必要です。
・冷蔵庫(冷凍庫) ・換気扇 ・給水排水ポンプ ・電気調理機器 ・照明 など |
そのほか、音響設備なども使う場合には電源を用意しなければなりません。
電源が必要なタイミング
営業中はもちろん、移動中も食材の冷蔵や保温をするために電源が必要になります。
また、保健所によるキッチンカーの設備検査を受ける際にも必要です。
設備検査では、給水排水ポンプの動作や換気扇、冷蔵庫の確認、さらに照明の明るさもチェックされるので、すぐに営業できるように電源を準備しなければなりません。
キッチンカーに電源を確保する方法
キッチンカーで移動販売の営業をするための電源の確保には、以下の4つの方法があります。
①営業先で電源を借りる ②発電機で電源を用意する ③走行充電器とバッテリーを使って自家発電をする ④自宅などでポータブル電源に充電をする |
営業中の電源確保だけが必要ならば、①と②でまかなうことができます。
それに対して、常に食材や商品を冷やしたり温めたりする必要がある場合や営業許可の検査を受けるときには、③や④のような準備が必要です。
次の項では、それぞれ詳しくご紹介していきます。
電源を確保する方法①基本は営業場所で電源を借りる
営業場所で電源を借りることができるかどうかは、キッチンカーで営業するうえで重要なポイントです。
電源を借りる費用は1日に1,000〜2,000円程度だったり、なかには無料で使わせてもらえたりする場合もあります。
また、キッチンカーの出店料に含まれている場合もあるので事前に確認しておきましょう。
延長のドラムリールのみを使う方法
出先で手軽に電気を持ってくることができるのがドラムリール(コードリール)です。
出店場所の電源と営業ドラムリールを接続して、さらにキッチンカーでさまざまな電気機器に接続して電気を流します。
離れた場所でも余裕をって使えるように、長めのものを選びましょう。
また、雨に濡れても大丈夫な屋外用のドラムリールを選ぶと安心です。
外部電源コネクターを使う方法
キッチンカーに外部電源コネクターが付いていれば、出店場所の電源とドラムリールを使ってつなぐことでキッチンカーに電気を取り入れることが可能です。
これでキッチンカーの中でもコンセントに繋ぐだけで、室内でコンセントを使う感覚でさまざまな電気機器を稼働させることができます。
電気を使いたいときに毎回ドラムリールに電気機器を接続する手間が省けるのは助かります。
初めから外部電源コネクターが付属している車もありますが、後付けも可能。
パーツを購入してはんだ付けで車体に設置すれば、出店場所での電源の供給がスムーズになります。
デメリット
電源の用意がある場所ならよいのですが、すべての場所で借りられるわけでありません。
そのため出店場所に利用できる電源があるかどうかは毎回確認する必要があります。
注意点
出店場所によって電気代が異なるので、事前に確かめておくと安心です。
1,000~2,000円かかる場合もあれば無料のこともあります。
出店料としてすでに徴収されている場合もあるので、内訳をしっかり把握しておきましょう。
電源を確保する方法➁発電機で電源を用意する
出店先で電源を借りることができないときに活躍するのが発電機です。
発電機は主にガソリンを使って動かすので、携行缶を利用してガソリン切れにならないように準備をしておきましょう。
保健所の営業許可をとるために設置する人も
キッチンカーの営業をするためには、事前に営業をする地域の保健所で営業許可証を取得しなければなりません。
この営業許可の認可条件は、全国統一ではなく地域によってさまざまなので、地域をまたいで営業する場所は各地域の条件をクリアする必要があります。
なかには、営業中以外も冷蔵庫が使える環境や、排水給水を自動で行う設備が必須な場合もあります。
そんなときにも活躍してくれるのが、発電機です。
発電機をキッチンカーに載せておくことで、自前の電源供給が可能で、営業許可の条件をクリアしていると判断されるケースが多いのです。
※営業許可条件は保健所によって異なるので、事前に確認をしてから検査を受けるようにしましょう。
キッチンカーの営業許可について詳しくはこちらの記事をお読みください。
デメリット
・騒音 ・臭い ・排気ガス ・高額 ・大きくて重い |
キッチンカーで営業をしている人の多くが持っている発電機ですが、よいことばかりではありません。
まず気になるのが音がうるさいこと。
稼働時には大きめの音がするので、静かな場所での営業では目立つかもしれません。
どうしても静かにさせたい場合には発電機の静穏ボックスを取り入れるとよいでしょう。
またガソリンを使って動かすので、その臭いや排気ガスも気になるところです。
販売するメニューや場所によっては、ガソリンの臭いが邪魔になったり、排気ガスが発生することから使用が禁止される場合もあります。
そして、高額な発電機を購入してキッチンカーに載せるとなれば、その大きさや重さも負担になるかもしれません。
発電機には本体だけでなく燃料のガソリンも必要になるため、合わせるとかなりの重量になり、使う時には一苦労……。
手軽に使えるアイテムではないので、1人でキッチンカーを営業する人は注意が必要です。
注意点
発電機を購入する際には、あらかじめ必要になる電力を計算して見積もっておくようにしましょう。(詳しい見積もりの方法は、記事の後半で解説します。)
またキッチンカーでは必要に応じてインバーター発電機を選ばねばなりません。
というのも最低限の機能に抑えた低価格な発電機の場合、加熱調理や冷蔵のためのモーター稼働には問題ありませんが、精密機器やマイコン制御機能を搭載した家電を動かすことができないからです。
インバーター発電機は、発電機で作られる電力を家庭で使うものと同じような電力に変換してくれるので、安心してさまざまな機器を動かすことができます。
電源を確保する方法③走行充電器(アイソレーター)+サブバッテリー+インバーターで発電する
車で電力を確保する方法として一般的なのが車のメインバッテリーを使う方法です。
しかし、スマホの充電や音楽プレーヤーを動かす程度なら問題ありませんが、キッチンカーで使う電気機器への使用はおすすめできません。
エンジンを切った車の中で大量の電力を使い続けると、バッテリーが上がり走行に必要な電力がなくなってしまうからです。
そんな不便を解消するのが、走行充電器やサブバッテリー、インバーターを車に載せて自家発電する仕組みを作る方法です。
キッチンカーの出店場所によっては、現地で電気を借りることも発電機を使用することもできない場合があります。
そんなときには、騒音やガソリン臭さ、排気ガスがない自家発電を活用するとよいでしょう。
走行充電器
走行中に発生する電気は通常メインバッテリーに蓄積されます。
この電力をメインバッテリーからサブバッテリーに流すのが走行充電器です。
メインバッテリーの電力量に応じて、サブバッテリーへの充電や停止を行うので、メインバッテリーの電力不足やサブバッテリーに必要以上に電力を流してしまうことがありません。
サブバッテリー
もともと車についているメインバッテリーは、エンジンをかけたりライトをつけたりするために使われます。
それに対してサブバッテリーは、車の走行に関わらない電気機器を動かす電力を貯めるものです。
エンジンを止めた状態でもサブバッテリーに貯めた電力を供給できるので、キッチンカーやキャンピングカーで活躍します。
しかし、サブバッテリーは充電しすぎたり電圧がなくなるギリギリまで使い続けると、劣化が進むと言われています。
サブバッテリーの中には走行充電だけでなく外部充電やソーラーパネル充電ができるものもあるので、状況に合わせた充電方法でサブバッテリーを長持ちさせましょう。
また、容量によって使える電気の量が変わるので、使用する電気機器に必要な電力に合わせてサブバッテリーを選ぶ必要があります。
インバーター
サブバッテリーを使うと、その中に”直流”の電気が充電されます。しかし家電製品に使われるのは”交流”の電気。
そのため、サブバッテリーにつないでキッチンカーで電気を使う際に必要なのが、インバーターです。
インバーターを使うと、サブバッテリーに充電された”直流”の電気が家庭に送られてくるものと同じ”交流”の電気になり、電気機器を動かすことができるようになります。
ちなみに、インバーターによって作られる電気のタイプは異なり、正弦波(質の高い、綺麗な波型の電気)や擬似正弦波(滑らかな波型ではない電気)、矩形波(四角い波型の電気)があります。
精密機器やマイコン制御の家電も使える正弦波のインバーターを選んでおくと、いろんな電気機器を正常に動かすことができて安心です。
さらに、キッチンカーの電圧が12Vと24Vのどちらなのかによって、適したインバーターを選びましょう。
またインバーターにはさまざまな容量のものがあります。
キッチンカーでは冷蔵庫や調理器具などの大きな電力が必要な機器を動すので、余裕をもった大容量のタイプを選ぶのがおすすめです。
デメリット
・高額 ・邪魔になる ・重たい ・たくさんの電気を使う設備を稼働させるパワーがない |
走行充電器やサブバッテリー、インバーターを使った自家発電の仕組みを作る際には、デメリットも気になりますよね。
まず最初にネックとなるのが初期費用が高額になることです。
中古で安く揃える方法も考えられますが、どちらにしても寿命のあるアイテムなのでキッチンカーの営業を続けるとなると買い替えの費用が発生します。
そして、キッチンカーの中に走行充電器やサブバッテリー、インバーターを載せるとかなり場所をとってしまう点と、その重量も気になるところです。
小さい車をキッチンカーにしている場合だと、窮屈に感じるかもしれません。
また、サブバッテリーを使った発電では1,000w以上の電力を必要とする電気機器を連続で使い続けることは難しいのが現実です。
必要電力が多い調理器具には、炊飯器やクレープを焼く鉄板、揚げ物を作るフライヤー、エスプレッソマシンなどが挙げられます。
キッチンカーの営業は数時間に及ぶので、扱うメニューや使用する電気機器によってはバッテリーでの発電だけでは電力がまかなえない可能性には注意が必要です。
注意点
サブバッテリーを使った発電システムに必要なパーツは、ネット通販でも気軽に購入可能です。
とはいえ、実際に接続し取り付けをするのは簡単なことではありません。
パーツを正しく接続して、車が走って揺れても大丈夫なように設置しなければなりません。
そのため、配線に詳しくない人が行うと火災につながる危険性もあるので要注意です。
安全に使うためにも、接続はプロにお願いしましょう。
サブバッテリーのシステムに必要なパーツも合わせて購入できる業者もあるので、まずは業者探しから始めてみることをおすすめします。
また、サブバッテリーシステムがすでに搭載されている中古車を探すのもよいでしょう。
電源を確保する方法④ポータブル電源
スマホやゲーム機などの小型アイテムを充電できるモバイルバッテリーのような感覚で、車の中で使えるのがポータブル電源です。
モバイルバッテリーと同じく発電するのではなく電気を溜めておいて他の電気機器に電力を供給する方法なので、事前に充電をしておく必要があります。
充電方法は以下の3種類です。
・コンセント充電 ・ソーラーパネル充電 ・シガーソケット充電 |
キッチンカーの営業時間外には自宅などでコンセント充電したり、ソーラーパネルで太陽光充電をしたりすれば、満充電の状態で営業を始めることができます。
また、車の中でもシガーソケットから充電できるので、いざというときに安心なうえ、配線を繋ぐのが難しいといったこともなく、手軽に持ち運べる点でも便利なアイテムです。
デメリット
ポータブル電源では、基本的に高い電圧の電気機器を長い時間連続で使うことはできません。
短時間だけ使いたい、消費電力が小さいものを動かすときに使いたいといったシーンに活躍してくれます。
電源(バッテリー・発電機)に関するQ&A
続いては、よくある質問をご紹介します。
走行中も冷蔵庫を動かすには?
食品を扱うキッチンカーでは、営業中ではなく走行中も冷蔵庫を稼働させたい人が大半です。
そんな人におすすめなのが車載用冷蔵庫。
シガーソケットから電力供給できるDC電源のものや家庭用のコンセントで使えるAC電源のものがあります。
キッチンカーで使う電力供給の方法によって選ぶとうよいですね。
詳しくはこちらの記事で解説をしていますのでチェックしてみてください。
また、どうしても走行中に使える冷蔵庫をキッチンカーに載せることができなければ、クーラーボックスに氷や保冷剤をたくさん詰めて食品を冷やす方法もあります。
出店しない日・自宅での電源は?
AC電源で動く冷蔵庫ならば、そのまま自宅に運んで動かしておくことができます。
しかし、DC電源を使う冷蔵庫や、キッチンカーに設置をして簡単に動かせない場合にはそうはいいかず、冷蔵庫の中身を自宅の冷蔵庫に移して保管する方が便利です。
食品の賞味期限や在庫量を把握するためにも、キッチンカーの中に入れておくより身近な場所で保管しておきたいですね。
電源も使えず発電機も使えない場合は?
キッチンカーを出店する場所によっては、電源を借りることができないうえに発電機の使用が禁止されていることがあります。
そういった場合には、サブバッテリーを使った発電システムやポータブル電源のような、騒音や排気ガスが発生しない発電方法で電力を確保します。
しかし、大きな電力が必要な調理が難しくなる場合が多いので、なるべく電気を使わずに調理できるような工夫をして営業するのがよいでしょう。
必要な電気量の調べ方は?
電気機器には「定格消費電力」が記載されています。
これは、その機器が持つ機能を全部使ったときに消費する電力量を指します。
「定格消費電力のワット数の合計×1.5」を目安にして必要な電気量を調べましょう。
また、一般的な家電製品の消費電力を一覧にしましたのでこちらも参考にしてください。
家電製品 | 消費電力(W) |
冷蔵庫 | 150〜600 |
トースター(加熱時) | 1,000 |
電子レンジ | 1,300 |
ホットプレート | 1,300 |
炊飯器(IH) | 700〜1,300 |
電気ポット | 700〜1,000 |
コーヒーメーカー | 450〜650 |
コンポ | 50〜100 |
電気スタンド(白熱灯) | 60 |
MYキッチンカーなら自分仕様のキッチンカーが製作可能
キッチンカーは、営業するメニューや状況によって必要な設備が異なります。
また、どのように電源を確保するかによって、内装や設計も変わる可能性がある点には注意が必要です。
MYキッチンカーには、キッチンカーの設計に熟知した専門の建築士が多数在籍!
営業許可が取れる内装はもちろんのこと、車内の導線やオペレーションを考慮したお客様に最適なキッチンカーをご提案します。
製作の際には、どのように電源を確保したいかなど、お気軽にご相談ください!
まとめ
キッチンカーの営業をするためには電力の確保は絶対に必要です。
イベント会場や建物・施設の近くなどでは電源が用意されている場合もありますが、ない可能性も多いにあります。
そのような場合は、自分で発電をしたりバッテリーや充電器を活用したりするなど、最も適した方法で電源を確保しましょう。
キッチンカーの内装について詳しくはこちらの記事をお読みください。