「軽トラでキッチンカーを自作(DIY)したいけれど、自分にできるかな?」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論から言うと、キッチンカーの製作は業者に依頼することをおすすめします。
自作(DIY)するほうが確かに安く済みますが、自分で作る手間・自作した際のトラブルを考えるとかえって費用がかさんでしまう可能性もあります。
業者に依頼するほうが確実に製作することができ、製作中に別の開業準備をすることも可能です。
この記事では、業者と自作の違いや自作する際の注意点を詳しくご紹介していきます。
キッチンカーを製作(自作)する際に必要な設備
キッチンカーを製作(自作)する場合、大きく分けて2つの設備が必要です。
●最低限必要な設備 ●販売するメニューを調理するための設備 |
それぞれ深掘りして解説していきます。
シンクはマスト!最低限必要な設備
まずは営業する地域で、保健所の許可を取得していきましょう。
キッチンカーとはいえ、飲食店であることに変わりありません。
地域ごとに必要な設備は異なりますが、どの地域でも必要な設備は以下の4つです。
●手洗い用のシンク ●調理機器を洗うシンク ●給水排水タンク ●手洗い用の消毒液 |
上記の他にも、衛生上必要なふた付きゴミ箱や、保冷が必要なら冷蔵庫など、取り扱う商品によって必要なものが出てきます。
もしも自分の営業予定の地域で何が必要かわからない場合は、その地域の保健所に相談してみるとよいかもしれません。
一度相談しに行くと、相談に乗ってもらえたり資料をもらえたりするのでおすすめです。
販売するメニューを調理するための設備
キッチンカーは車内で調理することがほとんどなので、どのようなメニューを提供するかを事前に考えておく必要があります。
たとえば、加熱調理が必要であればガスコンロまたは電気コンロ(IHなど)が必要です。
その場合ガスや電気の確保も考慮しなければなりません。
また、メニューによって営業許可の種類も変わり、必要な設備も異なります。
営業許可の詳細については、こちらの記事にて解説していますので併せて読んでみてください。
自作するときは内装にも注意
キッチンカーを自作する場合、設備だけでなく内装にも考慮していきましょう。
車内で調理から販売までのすべての業務を行うので、使いやすさはかなり重要になってきます。
今回は以下の5つの箇所ごとに、製作する上でのポイントをご紹介していきますのぜひ参考にしてみてください。
●床 ●天井 ●壁 ●窓 ●換気扇 |
床
床の素材を選ぶときにもっとも重要なポイントは、掃除がしやすい素材か否か。
加熱調理が必要であれば、油を使うことがほとんどなので床が油で汚れてしまいます。
そのため水拭き出来る素材がベストで、なおかつ汚れが目立たない色を選択するとよいでしょう。
また、夏場は車内の温度が上がりやすいので、断熱材を敷いておくなどの対処も必要です。
天井
夏場を想定すると、天井にも床と同様に断熱材を入れておくのがおすすめです。
断熱材は、この後にご紹介する壁にも使用します。
また換気扇の設置は保健所のチェック項目なので、天井もしくは壁に設置していきましょう。
壁
前述のとおり、断熱材を入れたり換気扇を設置したりするのがメインの作業です。
またキッチンパネルを貼っておくと、壁の掃除をする際に便利です。
油汚れは一度染みついてしまうと落とすのが大変なので、事前にキッチンパネルを貼っておくことをおすすめします。
窓
キッチンカーの窓はお客様とコミュニケーションの場になるため、なるべく大きなスペースを確保しておきましょう。
また跳ね上げ窓を設置しておくと、雨の日には屋根代わりになり、日差しの強い日は日よけになるのでおすすめです。
換気扇
換気扇の設置は保健所のチェック項目です。
先ほども解説した通り、壁や天井に必ず設置していきましょう。
キッチンカーの内装について詳しくはこちらの記事をお読みください。
自作するときは車検にも注意
キッチンカーは車両に改造を加えるので、通常の車検とは異なります。
普通貨物車(1ナンバー)や小型貨物車(4ナンバー)でも問題ありませんが、車検の際に車内の設備や荷物をすべて取り外さなくてはいけないのでかなり面倒です。
キッチンカーを自作する場合は、以下の2つのポイントを頭に入れておきましょう。
●8ナンバーを取得する人が多い ●車両の構造変更申請が必要 |
8ナンバーを取得する人が多い
パトカーや消防車などの緊急車両や、キャンピングカーなどで見かけることが多い8ナンバーを取得する人が一般的です。
8ナンバーを取得すると車検が2年ごとになり、厨房機材などの設備を車内に設置したまま検査できるのでおすすめです。
8ナンバーを取得するための注意点は以下の2つです。
●特殊設備・調理面積が運転席を除いたスペースの50%以上あるか ●運転席と調理スペースが完全に仕切られているか |
キッチンカーを自作し、8ナンバーの取得を目指すのであれば、上記の2つに注意して製作していきましょう。
車両の構造変更申請が必要
調理機材の設置などで車両に改造を加えて、もともとの車検内容に変更が生じる場合は構造変更申請が必須です。
キッチンカーの基準を満たしていない場合は車検を通過できないので、あらかじめ営業予定の地域管轄の保健所に問い合わせておくとよいでしょう。
もしも費用や手間を抑えたいのであれば、プロの業者に依頼することをおすすめします。
業者に製作依頼・自作(DIY)どっちがいい?
キッチンカーを自作する場合と業者に製作依頼する場合を比較すると最も大きな違いは費用面です。
今回はそれぞれのメリット・デメリットを紹介しますので、ぜひ参考にして自分に合った方法を選択してください。
業者依頼のメリットデメリット
まずは業者に依頼した場合のメリットをみていきましょう。
●開業準備の時間を短縮できる ●キッチンカー専門の業者ならアドバイスも得られる |
業者に依頼した場合、プロにお任せするので開業までの時間を短縮できます。
製作の手間がかからず、短期間でキッチンカーを製作してくれるのは大きなメリットでしょう。
またキッチンカーの製作や販売を専門としている業者に依頼すれば、内装などのさまざまなアドバイスをもらえるでしょう。
では、デメリットについてもみていきましょう。
●自作するよりも費用が高額になる ●イメージと違う仕上がりになる |
前述のとおり、費用面が自作と業者に依頼する場合の大きな違いと言えます。
すべてを依頼すると費用が高額になるので、自分できる部分以外を業者に依頼するのがおすすめです。
また、仕上がりイメージを正確に伝えきれていない場合は、想像と違う仕上がりになる可能性があるので、注意が必要です。
自作(DIY)のメリットデメリット
続いては自作(DIY)する場合のメリット・デメリットについてご紹介します。
まずはメリットから以下のとおりです。
●費用をかなり抑えられる ●シンプルなDIYであれば、それほど手間はかからない |
自作した場合の一番のメリットは費用を抑えられることです。
新品のパーツを使わずに、美品の中古のパーツを使用して、さらに費用を抑える方法もあります。
またシンプルなDIYならそれほど手間はかかりません。
あまり内装にはこだわりがなく、簡易的なイメージであれば自作するのもよいでしょう。
では、デメリットについてもみていきましょう。
●時間と手間がかかる ●失敗した場合、かえって費用がかかる場合がある ●工具代も費用に含まれる |
キッチンカーの自作にはかなりの時間と手間がかかります。
すぐにでも営業開始したい人であれば、業者に依頼するほうが断然早いのでおすすめです。
自作の場合は、せっかく完成したと思ったらトラブルが発生し、かえって費用がかかってしまう可能性もあります。
そのため、DIYに関する知識があり時間や手間を惜しまない人以外は、業者に依頼するのがおすすめです。
また、自作の場合は工具代も費用に含まれるので、忘れないようにしましょう。
自作(DIY)でキッチンカーを作る費用
自作で新車の軽トラを作りこんだ場合、車両費込みで約150万円ほどかかります。
加工費用のみで100万円前後かかるのこと併せて覚えておきましょう。
また業者に依頼した場合、軽トラの車両費込みで200~500万円前後です。
キッチンカーの製作費用は車両本体の価格によって前後しますが、きちんとした設備で営業したいのであれば、自作はあまりおすすめできません。
今後のメンテナンスや修理などの費用や手間を考えても、業者に依頼するのが得策でしょう。
自作(DIY)する際のポイント・注意点
キッチンカーの自作(DIY)で、基本的に製作が必要な場所は以下のとおりです。
●外装の塗装 ●床 ●運転席との仕切り ●調理台 ●シンク ●電源 ●換気扇 ●給水排水タンク・蛇口 ●給湯器 |
それぞれを実際に製作する際の注意点やポイントを、以下で解説していきます。
外装の塗装
外装(車両のボディ)の塗装は、業者に依頼すると15~20万円ほどかかります。
それに対して自作した場合は初心者でも簡単に刷毛塗りできる車専用の塗料を使用すれば、2~3万円ほどで塗装可能です。
自分で塗装する場合の注意点は以下の2つです。
●一度自分で塗ると塗装屋に修理に出せなくなる ●洗車機が使えなくなる |
キッチンカーにカラフルなイメージをもつ人は多いかもしれませんが、必ずしも塗装する必要はありません。
ご自身の予算と相談しながら検討していくのがおすすめです。
床
キッチンカーの床は基本的に水拭きできる素材を選択しましょう。
代表的な素材にはコンパネ+フローリングマットが挙げられます。
フローリングマットは汚れの目立たない色を選び、コンパネは厚みが10㎜以上あるものが理想的です。
また保健所から営業許可を取るための規定は地域によって異なるので事前に営業予定の保健所に確認をとっておきましょう。
床づくりの注意点は以下の2つです。
●エンジンルームを完全に塞がない ●気になるのであれば、床のたわみを取る |
車の荷台部分には整備するための開口部(エンジンルーム入口)があるので、完全に塞いでしまうと万が一の時に整備ができなくなります。
そのため開口部のコンパネは、必ず取り外しができるようにくり抜いて製作していきましょう。
また床のたわみが気になるのであれば、コンパネの下に骨組みを敷き、コンパネを打ち付けていくと改善できます。
運転席との仕切り
もともと仕切りがある車両なら作成不要ですが、保健所によっては仕切りがない車両だと営業許可が降りない場合があります。
仕切りの素材には撥水加工された硬く丈夫な素材を選びましょう。
床に固定する際は、L字金具を使ってしっかりと固定していきます。
では、仕切りを製作する際の注意点をご覧ください。
●運転席から後方確認するための窓が必須 ●大きな隙間は必ず埋める |
仕切りには後方確認するための窓が必須です。
大きめのアクリル板などを活用して、窓の製作も行なっていきましょう。
また仕切りを設置した際に車体との間に隙間が生じますが、あまりにも大きな隙間があると保健所に指摘される可能性があります。
このような隙間にはクッション材を使用して埋めていくのがおすすめです。
見た目もよくなるので、隙間対策は必ず行なっておきましょう。
調理台
調理台には防水加工の素材を使用しますが、木材以外ならステンレスがおすすめです。
調理台を製作する際の注意点は以下のとおりです。
●木材を使用する場合は注意が必要 |
木材にオイルステインを塗って使用することを検討している人がいるかもしれませんが、営業許可が降りない地域が多いので要注意です。
もともと撥水加工されているパイン集成材やカラー化粧板で製作するとよいでしょう。
もし木材に塗料を塗って撥水加工するのであれば、撥水セラミックマルチがおすすめです。
シンク
シンクを設置する前に、あらかじめ保健所指定の大きさと個数、素材を確認しておきましょう。
特に首都圏の保健所では細かい指定があり、最悪の場合、設置し直しを命じられる可能性があります。
素材はステンレスであれば間違いありませんが、大きさや個数については必ず確認しておきましょう。
では、シンクを設置する際の注意点です。
●丸型のシンクはおすすめできない ●蓋を設置できるシンクがベスト |
丸型のシンクは、シンクを埋め込む穴をあけにくいのでおすすめできません。
また、保健所によっては許可されない場合もあるので注意が必要です。
上記の理由から丸型のシンクは選択肢から外すことをおすすめします。
またシンクは調理台に設置するので、調理スペースを確保するために蓋を設置するとよいでしょう。
電源
キッチンカーの中への電源設置は基本的に不要です。
電源は各営業先での現地調達が主となるので、延長のドラムリールなどがあればよいでしょう。
また電源に関しては以下の記事にて詳しく解説していますので、興味のある人は併せて読んでみてください。
換気扇
換気扇の設置が義務づけられているかどうかは、保健所によって異なります。
もしも設置の必要があれば、どんなタイプの換気扇が許可されるのか確認しておきましょう。
また換気扇を設置する際は、取り付け場所(金属部分)に開口していくのでグラインダーという工具が必要です。
給水排水タンク・蛇口
キッチンカーには手洗いや食器洗い用に給水排水タンク・蛇口の設置が必要です。
一般的に給水タンクは20Lのものが使用されています。
20Lを超える水が必要な場合は、荷締めベルトなどを使ってタンク同士を結合させるとよいでしょう。
また、排水タンクも20Lのものが一般的です。
ちなみに、保健所によっては衣装ケースでも代用可能なところもあります。
また、蛇口については折りたたみ式のタイプがおすすめです。
では、給水排水タンク・蛇口を設置する際の注意点です。
●給水タンクから直接水を出すのはNG ●蛇口のハンドル部分にスイッチが内蔵されているものを選ぶ |
給水タンクから直接水を出すのは基本的にNGなので、電動ポンプでくみ上げる必要があります。
つまり給水タンクの水栓コックとは別に、蛇口の設置が必要です。
また蛇口はタンクから電動ポンプで水をくみ上げてくれる、ハンドル部分にスイッチが内蔵されているものを選びましょう。
給湯器
給湯器は全国の一部地域を除いて設置の義務がありません。
60度以上のお湯を使用する人は設置しましょう。
給湯器はガス給湯器または電気給湯器から選ぶ必要がありますが、ガス給湯器の場合は要注意です。
有資格者しか取り付けしてはいけないので、必ず専門業者に依頼してください。
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まとめ
今回はキッチンカーを自作(DIY)する場合の方法や、業者と自作を比較した場合どんなメリット・デメリットがあるのか?をご紹介しました。
結論、キッチンカーは業者に依頼するのがおすすめです。
自作して何かトラブルが発生した場合を考えると、「業者に依頼したほうが安かった」なんてことになりかねません。
確実に製作出来る箇所だけ自作するのがおすすめです。
ぜひこの記事を参考にして、初めてのキッチンカー作りを成功させましょう。