移動販売の本屋では、その場所ならではの本が楽しめるので、利用してみたいと思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、移動販売の本屋を6つ紹介します。
さらに、本の移動販売を行うために必要な許可や資格、開業手順についても紹介しますので、開業を検討している方もぜひ参考にしてください。
移動販売の本屋さんを紹介!
まずは、扱っている本や販売スタイルが異なる移動販売の本屋を6つ紹介します。
BOOKBUS
2018年にスタートしたBOOKBUSは、オンラインで古書の買取・販売などを行なっているVALUE BOOKSが運営している移動販売の本屋です。
移動図書館車を改装した車両に約1,000冊の古本を積み、長野県を拠点にイベントへ出店しているほか、保育園や学校、老人ホームなどへ本を寄贈したり、震災や豪雨の被災地を訪れたりと、全国各地でも活動の幅を広げています。
VALUE BOOKSの倉庫では毎日約2万冊の古本が届きますが、約半分が古紙リサイクルに回されています。
BOOKBUSは、そういった古紙リサイクルに回される本が「新しい場所で活躍できるように」との思いから始まったプロジェクトです。
BOOK TRUCK
BOOK TRUCKは、2012年に三田修平さんが始めた移動販売の本屋です。
水色のトラックに新刊書、古書、洋書、絵本、リトルプレス、雑貨などを積み、公園や駅前、商業施設、イベント会場など関東を中心に本の移動販売をしています。
カフェイベントにはコーヒーの本、浜辺が近ければ海の描写が描かれた本など、出店するイベントに合わせて本の品揃えやレイアウトが変わります。
「これまで本を読んでこなかった人でも、気軽に本と出会える場所を作りたい」という三田さんの思いが感じられる本屋です。
ruco-bon*(るーこぼん)
ruco-bon*は、2018年に2児の母であるrucoさんが始めた移動販売の本屋です。
生きづらさを感じていたときに出会った1冊の本がきっかけで心が軽くなったrucoさんは、同じように悩んでいる人に「本を通して元気になってほしい」と思い、トランク1つで移動式本屋を始めました。
現在は、赤いワーゲンバス仕様の軽ワゴン車に自己啓発本やエッセイ、絵本などを積み、イベントやマルシェ、キャンプ場、住宅展示場など福岡県を中心とした九州各地に出店しています。
ペンギン文庫
ペンギン文庫は、2015年に山田絹代さんが始めた移動販売の本屋です。
トヨタのクイックデリバリーを改装した車内の両側に写真や美術、文芸、詩などの新刊書を中心とした本を並べており、まるで街角にある小さな本屋に入ったような雰囲気が味わえるでしょう。
ファミリー層向けのイベントには暮らしをテーマにしたもの、手しごと市なら手作りに関するものなど、気軽に手にして楽しんでもらえるように、参加するイベントに合わせて本が変わります。
宮城県仙台市を拠点に全国のさまざまな場所に出店していましたが、コロナ禍をきっかけに仙台市内の公園で定期的に出店するようになりました。
足軽書店
引用:https://ashigarubooks.studio.site/
足軽書店は、2021年にタケダさんが始めた東京都内を拠点とする移動販売の本屋です。
オレンジ色のワゴン車に本をたくさん積んでさまざまな街へ出向く、足どり軽い本屋という意味でつけられた足軽書店には、「本との出会いを素敵な体験にしたい」という店主の思いが込められています。
初出店は図書館のイベントだったため、家族連れのお客様のために絵本のみで出店しました。
今後も、都心近郊を中心にマルシェやイベントの出店を計画しています。
道草書店
道草書店は、中村竹夫さん・道子さん夫妻が運営する本屋です。
2020年1月に都内から神奈川県の真鶴町に移住してきた中村さんが移動式本屋を始めたのは、「この町には本屋がない。」という町の人の声がきっかけでした。
そこで、家にあった軽自動車に本を積んで運び、出店場所に小さなテントを張って本を並べるスタイルで本を販売しながら、各所で絵本の読み聞かせ会や映画上映会、読書会などのイベントも開催してきました。
現在は、真鶴町で新刊を扱う本屋、こども図書館、カフェなどの複合型本屋をオープンし、地域に住む人たちが交流できる「人が主役の本屋」を営んでいます。
移動式本屋の開業に必要な許可や資格
移動販売の本屋を開業するにあたって、必要な許可や資格を確認しましょう。
本屋の開業には【開業届】提出がおすすめ!
本屋を開業した際は、開業日から1か月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署へ提出しましょう。
未提出でもペナルティなどはありませんが、開業届を提出すると、所得税の優遇措置が受けられたり屋号で銀行口座を開設できたりといったメリットがあります。
個人で事業を始める場合は、提出することをおすすめします。
古本・中古本を販売する場合は【古物商許可】が必要!
古本・中古本は古物営業法に規定される品目に含まれているため、営利目的で売買または交換、レンタルする場合は、古物商許可が必要です。
古物商許可を申請する際は、営業所を管轄する警察署へ以下の書類を提出しなくてはなりません。
- 古物商許可申請書
- 住民票
- 身分証明書
- 略歴書
- 誓約書
ただし、個人と法人のどちらで許可を取るかによって提出書類が変わるため、申請前に警察署へ相談しておくと安心です。
移動式本屋で販売する本の仕入れ方法
ここでは、移動式本屋で販売する本の仕入れ方法を紹介します。
新刊の仕入れ方法
新刊は、取次店または出版社から仕入れます。
取次店とは、出版社と書店の間に入り、売れ筋商品の補充や売れ残った商品の変品、代金の請求や支払いの代行などを行なっている会社のことです。
取次店は安価で取引を始められ、1冊からでも仕入れができるというメリットがあります。
本の仕入れにおすすめの取次店・出版社は、以下の4社です。
ことりつぎ | 取次店 | オンラインで始められる仕組みが魅力で、個人営業の小さな本屋が対象 |
ホワイエ | 1冊から仕入れが可能で、売れ残りの返品もできる | |
ディスカバー社 | 出版社 | ビジネス書や自己啓発書などをメインに直接取引できる |
永岡書店 | 児童書や実用書をメインに直接取引できる |
その他、取次店で扱っていない本を仕入れたい場合には、直接出版社へ連絡をしてみるとよいでしょう。
仕入れ方法は取次店でも出版社でも変わらず、以下の2種類があります。
委託販売 | 売れなかった本が返品できる |
買い切り制 | 返品は不可だが、仕入れ価格を抑えることができる |
在庫のリスクを抱えない委託販売がおすすめですが、会社によって支払方法が異なるため、事前に確認しましょう。
古本・中古本の仕入れ方法
古本・中古本の仕入れ先には、以下のような選択肢があります。
- ブックオフ
- Amazon
- フリマアプリ
- 古書店
他にも、各都道府県にある古書組合に加入する方法も挙げられます。
古書組合に加入すると加盟店が商品を持ち寄って行う古書交換会に参加できますが、地域によっては50万円程度の加入金がかかる場合もあるため、参加の有無については、収支のバランスを考えて検討しましょう。
移動販売の本屋を開業する手順
次に、移動販売の本屋を開業する手順を確認しましょう。
1.コンセプトを決める
まずは、どのような本屋にしたいかコンセプトを決めましょう。
コンセプトとは、お店の軸となる基本的な考え方や概念のことです。
「どんな人をターゲットにするのか」「どのような本を売りたいのか」などを決めることで、レイアウトや仕入れる本の選定ができます。
2.移動販売車を手配する
本を載せる移動販売車を手配しましょう。
軽ワゴンや1tトラック、1.5tトラックなどのベースとなる車両によって、積める本の量や配置スペースが変わります。
また、車両は大きさごとに価格も異なるため、店舗のイメージと予算を考慮して選びましょう。
3.販売する本や什器・備品を仕入れる
車両が決まったら、販売する本や什器・備品を仕入れましょう。
先述の通り、本の仕入れ先は「新刊」「古本・中古本」で異なります。
また、本を収納する棚の他にも、レジや購入した本を入れる袋など、営業にはさまざまなアイテムが必要です。
準備物をリストアップし、どのように仕入れるかを事前に確認しておきましょう。
4.必要な許可を申請する
開業届や古物商許可など、移動販売の本屋を開業するために必要な許可の申請をしてください。
書類を揃えて提出しても、許可を得るまでには時間がかかる場合もあるので、申請にどれくらいの期間が必要なのかを確認してから準備を進めるとよいでしょう。
5.出店場所やイベントを決める
出店場所や参加するイベントを決めていきます。
道路に駐車して販売することは禁止されているため、駐車できる場所や出店できるイベントを探さなくてはなりません。
コンセプトに合った場所やイベントに絞って探すことで、集客や売上につながるでしょう。
6.お店のPRをする
オープン前にお店のPRを行いましょう。
チラシやSNS、ホームページなどで宣伝広告を行なったり、知り合いに口コミで広めてもらったりしてお店の認知度を高めていくことが大切です。
イベントなどの出店を募る方法もあります。
移動式本屋を開業して成功するコツとは?
以下では、移動販売の本屋を開業して成功するためのコツを紹介します。
お店のコンセプトや本のセレクトで独自性を出す
移動販売の本屋を成功させるためには、お店のコンセプトや本のセレクトで独自性を出すことがポイントです。
大型書店にはない本や専門書など、普段は出会わないような本を揃えておくことで、他店との差別化が図れます。
また、試し読みのコーナーを設けたり陳列の仕方にこだわったりと、お店のコンセプトが伝わるように工夫しましょう。
出店場所やイベントに合わせて営業する
出店場所やイベントによって客層や売れるジャンル・時間などが異なるため、お客様のニーズを考慮することも大切です。
たとえば、ファミリー層が多い場所では絵本、ワインやカフェのイベントではそれぞれの飲みものに関連する本を揃えるなど、移動販売の強みを駆使した工夫をするとよいでしょう。
SNSを活用してこまめに情報発信する
集客のために、SNSを活用してこまめに情報を発信しましょう。
InstagramやTwitterなどで出店場所を告知することはもちろん、普段から取り扱っている本やこだわりポイントなどを紹介して更新を続けることが大切です。
更新頻度が増えればフォロワーの獲得率も上がり、フォロワーが増えれば多くの人に存在を知ってもらうことができるでしょう。
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まとめ
移動販売の本屋として活躍している人は、それぞれに車や扱っている本、活動場所などさまざまなこだわりがあります。
開業するにはまず、どのような本屋にしたいかコンセプトを決めることが大切です。
また、開業届や古物商許可など申請に時間のかかるものがあるので、計画に余裕をもって準備を進めましょう。