コロナ禍でテイクアウト需要が増えた今、キッチンカーを開業する人が急増しています。
「飲食店を経営するのが夢」という方は開業初期費用を抑えられるキッチンカーから始めてみてはいかがでしょうか。
この記事では、キッチンカーのメリットとデメリットをご紹介していきます。
コロナ禍に需要が伸びているキッチンカーとは
昨今、飲食業界は新型コロナウイルスによって大きなダメージを負っています。
なかでも「イートイン」への影響は計り知れず、売上が50%以上ダウンした飲食店も少なくありません。
しかし、その一方で「テイクアウト」需要の急拡大に伴い増えているのが「キッチンカー」です。
ケータリングカー、フードトラックとも呼ばれるキッチンカーは「移動販売車」の中でも「食品の調理設備がある車両」を指します。
以前からキッチンカーでの移動販売は行われていましたが、昨今のテイクアウト需要の拡大に伴い、キッチンカーで商売を始める人が急増。
今では商業施設やオフィス街にとどまらず、マンションや住宅街にも出店されています。
またキッチンカー開業にあたって、自治体によっては助成金などを設けているところも
あるため、確認してみるとよいでしょう。
そのほかにも、飲食店が少ないエリアへキッチンカー出店を誘致する自治体があるなど、新規参入もしやすくなっているのです。
キッチンカーのメリット
昨今急増しているキッチンカーですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。
本章で詳しく解説していきます。
開業時の初期投資資金が抑えられる
キッチンカーでは、「開業時の初期投資資金が抑えられる」利点があります。
固定店舗を開業する場合、物件取得費や月々の家賃、人件費など多額のコストがかかり、少なく見積もっても500〜1,000万円の初期投資は必要でしょう。
一方のキッチンカーは、300〜500万円程度の予算があれば十分な設備で開業が可能です。
具体的には以下のような費用が発生します。
●車両購入費:キッチンカーの車両 ●交通費:ガソリン代、高速道路料金など ●食材費:商品開発や練習のための食材費用 ●設備費:ガスコンロ、冷蔵庫、発電機、鉄板など ●営業許可取得のための費用:食品衛生責任者の講習、保健所への申請費用など ●広告宣伝費:ロゴ制作、ブログ運営、通信費など ●消耗品費:商品の包装紙、包装パック、事務用品など ●キッチンカーの装飾費:メニュー表、テーブル、置物など |
経費の種類はたくさんありますが、キッチンカーの「車両購入費」以外はそこまで大きな金額になりません。
初期費用トータルの相場は300〜500万円程度ですが、装飾費や広告宣伝費を抑えるなど工夫すれば、200万円程度での開業も可能です。
店舗家賃の固定費が不要
キッチンカーは「車両」が店舗代わりになるため、固定店舗のように家賃がかかりません。
つまり固定費が少なければ利益も出やすくなるのです。
たとえば、1ヶ月で100万円を売り上げる固定店舗とキッチンカーがある場合、どちらが多くの利益を残せるかというと、断然「キッチンカー」です。
キッチンカーは家賃や人件費などの固定費を限りなくゼロにできるため、固定費分がそのまま利益になります。
運転資金も比較的少なく済むため、経営難に陥る可能性も低く、コストを最小限に抑えられるキッチンカーでは、商売も長く続けやすいのです。
人の集まる場所に移動できる
いつでもどこにでも移動できることは、キッチンカーの醍醐味です。
基本的に「お客さまに来てもらう」固定店舗とは反対に、キッチンカーでは「人が集まるところに自分から移動する」ことができます。
そのため、「昼時はランチ難民を狙ってビジネス街に出向く」「夕方はファミリー層を狙って住宅街で販売する」など、自由に出店場所を変えることができます。
万が一人が集まらない場合でも、すぐに別の場所に移動できるため、売上もコントロールしやすいでしょう。
人件費ゼロにできる
固定店舗における固定費は「家賃」と「人件費」がほとんどです。
なかでも人件費の割合は大きく、アルバイトを複数人雇っている場合、少なくとも月々30〜50万円程度の人件費がかかるでしょう。
一方のキッチンカーは、やる気と工夫次第で「人件費ゼロ」にできます。
つまり、スタッフを雇わずに自分ひとりで営業するということです。そもそもキッチンカーはキャパシティが狭く、物理的にテイクアウトしか提供できないため1人でも十分に回せます。
仮にアルバイトを雇ったとしても、車両のキャパシティを考えるとせいぜい1〜2人程度です。
基本的に、開業から数ヶ月は「自分一人」で回すことを考え、行列が出来て忙しくなってきたらアルバイトを1〜2人雇う方向へシフトしていくのがベストでしょう。
長期休業もしやすい
キッチンカーは長期休業をすることも可能です。
基本的にキッチンカーを営む人は「自営業」となるため、スケジュールを自分で調整できます。
またキッチンカーは営業場所が固定されていないため、出店場所によってお客さんの層も異なります。
そのため、仮に長期間休んでもお客さんが離れにくいのです。
リピーターからは「最近見ないな」と思われるかもしれませんが、多くの人は「キッチンカーは移動するのが当たり前」と思っています。
そのため、休業明けでもすぐにお客さんが来てくれやすいのです。
場所や時間でメニューを変えられる
先述のとおりキッチンカーには営業する場所や時間に縛りがありません。そのため場所や時間に合わせたメニューを提供できるのです。
たとえば、ランチタイムなら「ビジネス街でお弁当を提供する」、夕食前なら「住宅街や商業施設でお惣菜を提供する」などの工夫が可能です。
言わずもがな、土地が変われば人も変わるため、移動のたびにターゲットを変えていく必要があります。
キッチンカーは「自由度」が高くなる一方でメニュー開発に時間が割かれることを踏まえておきましょう。
大きな売上が見込める
実はキッチンカーでは、営業効率次第では大きな売上が見込めます。
キッチンカーは初期投資こそ少ないですが、販売形態がお客さんに商品を手渡しするだけの「テイクアウト」であるため、回転率が非常に高くなります。
商品の在庫さえあればお客さんの数に限界ないため、最小の労力で最大の売上を出すことができるのです。
加えて、家賃や人件費などの固定費も最小限に抑えらるため、仮に売上から経費を引いたとしても、固定店舗よりもはるかに大きな利益が残ります。
お客様との距離が近くファンがつきやすい
キッチンカーはお客様との距離が近いところもメリットです。
近年キッチンカーは増加傾向にありますが、消費者から見るとまだまだ「物珍しさ」があります。
また、車両の中から商品を渡すためお客さんの距離が近く、コミュニケーションが生まれてリピートにつながりやすくなります。
多くのお客さんから利用されるようになれば、次第に固定ファンも付いてくれるでしょう。
店舗を持つ前の手段として
キッチンカーは開業資金を抑えることができるため、店舗を持つ前にキッチンカーを始める人が増えてきています。
固定店舗を開業するには大きなコストがかかるためリスクが伴う一方で、キッチンカーはコストが低く、かつ手軽に始められるのは魅力的ですね。
キッチンカーが繁盛すれば、「キッチンカー〇〇(店名)、〇月〇日に固定店舗を出します!」という感じで、やがて固定店舗を持つ際の告知にも役立ちます。
軌道に乗ったキッチンカーを持つことでお店にファンがつき、固定店舗でも安定した売上を出すことができるのです。
キッチンカーのデメリット
キッチンカーには多くのメリットがあることをお伝えしました。
しかし、その反面デメリットもあるので要注意が必要です。
ここではキッチンカーのデメリットについて詳しく解説していきます。
出店場所の確保が困難
出店場所の確保がキッチンカー営業ではとても重要なのをご存じでしょうか。
自由度の高いキッチンカーですが、どこにでも出店してよいわけではありません。
多くの場合、仲介業者が地主からスペースの使用許可を得ており、出店者が仲介業者からの許可を得てはじめてキッチンカーを出店できる仕組みになっています。
人気のスペースはすでに埋まっているケースも多く、特に東京都など都市部の人気エリアは競争が激しくなっているのが現状です。
また、地元のお祭りや花火大会などのイベントときには「商工会議所」や「観光協会」が絡んでいることも多く、事前に許可を得てから出店しなければなりません。
出店場所を誤ると全く集客できない
出店場所を誤ると全く集客できません。
キッチンカーの集客は「出店場所」がすべてといっても過言ではないのです。
ある程度人が集まっていて、かつテイクアウト需要のある場所でなければ売上を出すのは難しいでしょう。
よくありがちな失敗が「他に競合がいない中心部から離れた場所に出す」ケースです。
確かに競合がいなければ有利にはなりますが、テイクアウト需要がなければ意味がありません。
競合がいない場所は、裏を返すと「そもそも出店する理由がない」「この立地で勝負しても売れない」という理由から出店者がいない可能性も大いにあります。
そのため出店料が高くても、ある程度の競争があって、多くの人が集まるエリアを考えるのが無難です。
キッチンカーの出店場所について詳しくはこちらの記事をお読みください。
自治体ごとに営業許可を取るのが面倒・費用もかかる
キッチンカーを出店するには、自治体からの営業許可が必須です。
当然、地域をまたげば自治体も変わるため、その都度許可を取得しなければなりません。
自治体ごとに許可を取るのは面倒なうえ、費用もかかります。
また、出店時には「出店料」も必要で、相場はおよそ「売上の10〜20%」程度です。
売上に対してパーセンテージで払ったり、最初から固定の金額を払ったりなど、仲介業者によって支払い方法は異なります。
キッチンカーの出店には許可や出店料が発生することから、ある程度の手間とコストがかかることを念頭に置いておきましょう。
ちなみに、営業許可に関しては、大阪府や神奈川県など営業区域を拡大した地域もあるため、確認してみることをおすすめします。
別途仕込み場所も必要
別途仕込み場所の用意をしなくてはならない可能性があります。
キッチンカーはスペースが限られているため、すべてのメニューの仕込みを車内で完結させるのが難しい場合は、「仕込み場所」を確保しなければなりません。
また、キッチンカーの仕込みができるのは「保険所の営業許可を取得した飲食店や施設」に限られるため、「自宅」での仕込みはできません。
そのため、飲食店を経営している知人からキッチンを借りる、キッチン施設のレンタルサービスを使う、などの対応策が必要です。
多くのメニューを同時に取り扱えない
キッチンカーでは、多くのメニューを同時に取り扱えません。
調理スペース、商品の在庫スペース共に限られているため、一度に多くのメニューを調理・陳列することができない点には注意が必要です。
提供する商品によりますが、異なる種類の弁当であれば5〜6種類が限界でしょう。
クレープなど材料が少なくかさばらないものであれば10種類以上は並べることができますが、固定店舗と比べると少なくなってしまいます。
そのためメニューを作成する際は、「豚肉で弁当と惣菜の両方を作る」など、同じ食材を使って調理できるメニューを考えるのがオススメです。
またキッチンカーでは調理方法にも限界があります。
たとえば、炒め物と揚げ物を同時にこなすのは物理的に困難なため、できるだけ調理方法の選択肢を減らすのがよいでしょう。
差別化が難しい
基本的にキッチンカーでは定番メニューが好まれる傾向にあり、差別化が難しいとされています。
ケバブやクレープ、パン、焼き鳥、タピオカジュースなどが代表例で、このような「片手で食べられるもの」は、多くの出店者が提供しています。
だからといってカレーライスやラーメンなどの手軽に食べづらい商品を提供するのも難しいため、どうしても他の出店者と似たような商品になってしまいがちです。
したがって、差別化を図る際は、同じ系統の商品でもひと手間加えたものにしたり、キッチンカーの装飾にこだわったりなどの工夫が必要です。
電源や熱源の確保が大変
電源や熱源の確保が大変な点もキッチンカーのデメリットです。
キッチンカーを含む移動販売車の開業で多くの人がぶつかる壁が「電気」と言えます。
車両には電源や熱源が備わっていないため、以下のような方法を用いて自分で確保する必要があるのです。
●車内にポータブル発電機を置く ●現地でコンセントを借りる |
キッチンカーは移動が多いため、基本的には車内に「発電機」を置くことになります。
しかし、発電機もある程度のコストがかかるので注意が必要です。少なくとも10万円程度は見積もっておきましょう。
イベント会場などでコンセントを貸してもらえる場合は、主催者側の利用条件に従ってそのまま利用するのもよいでしょう。
しかし、何かしらのトラブルで現地の電源や熱源が使えなくなるケースもあるため、ポータブル発電機を常備しておくと安心です。
キッチンカーの電気について詳しくはこちらの記事をお読みください。
天候に左右されやすい
キッチンカーは「屋外」に出店するのが基本なので、営業が天候に左右されやすい点にも注意が必要です。
晴れている日であれば集客にも期待できますが、雨の日や寒い日は屋外にいる人が少ないため、売上が下がってしまいます。
「天気が悪いから今日は出店しない」という出店者も少なくありません。
そのため、天気がよい日にたくさん売れる商品を提供する必要があります。
夏であればクレープやジュースなどの冷たいもの、冬であればホットスナック系やホットドリンク系がオススメです。
雨の日に出店する際は「雨の日キャンペーン」などの施策も有効です。キャンペーンを打ち出すことで、天気がよくない日でも集客につなるチャンスがあります。
初見で買ってもらいにくい
キッチンカーを利用したことがない人も多く、初見で買ってもらいにくいデメリットもあります。
なかには「どうやって購入すればよいかわからない」「気軽に購入してよいものかわからない」という消費者もいます。
そのため、初見の人でも利用しやすい店構えや購入しやすい商品を提供することをオススメします。
また、お店の前で購入を迷っているお客さんに対して声をかけてみるのもよいでしょう。
多くの人の目に入るものの、なかなか利用されないのがキッチンカーの短所と言えます。できるだけ初見の人でも購入しやすいような対策を練りましょう。
【必読】キッチンカーで成功するためのポイント
ここまで、キッチンカーのメリットやデメリットをお伝えしてきました。
では、キッチンカーで成功するためにはどのような対策を講じる必要があるのでしょうか。
最後に、キッチンカーで成功するための「3つのポイント」を解説します。
1.出店場所は複数確保しておく 2.看板メニューを作る 3.開業資金を最小限に抑える |
出店場所は複数確保しておく
お伝えしたように、キッチンカーを出店するには各自治体の許可や仲介業者からスペースを確保する必要があります。
その際に複数の出店場所を確保しておきましょう。
1つの場所しか確保していない場合、万が一その場所の売上が伸びなかったときにキッチンカーを移動させることができません。
そのため、出店場所は複数確保しておくことをオススメします。
しかし、出店場所を1つ確保するごとに出店料がかかるため、場所を増やしすぎても固定費がかさんでしまいます。
あくまでも事業の予算を考慮しながら販路拡大に努めましょう。
看板メニューを作る
看板メニューの作成も有効です。
先述のようにキッチンカーは市場が狭いため、他の出店者と商品が被ってしまうケースも少なくありません。
そこで差別化を図るためにも、自分のキッチンカーでしか食べられない「看板メニュー」を作っておく必要があります。
その際には単に看板メニューを作るだけでなく、「店長のおすすめ」や「期間限定!」「限定10食!」などのキャッチコピーを作ると効果的です。
できるだけお客さんの視界を引きつける魅力的なキャッチコピーを作りましょう。
開業費用を最小限に抑える
お伝えしたように、キッチンカーは固定店舗と比べて初期費用が格安です。
できるだけ多くの利益を出すためにも、開業費用をギリギリまで抑える工夫をしましょう。
具体的には以下のような費用削減の方法が考えられます。
●車両を新車ではなく中古で購入する ●業者ではなくDIYで車両の設備や装飾をする ●ガスコンロや冷蔵庫は中古で購入する ●飲食店経営者の知り合いからキッチンを借りる ●SNSや無料ホームページを使って広告宣伝費を削減する ●食材のロスを防ぐために同じ食材を使ったメニューを複数作る |
たとえば開業資金が300万円あった場合、上記のような対策で200万円まで削減できれば、残りの100万円は運転資金に回すことができます。
運転資金に余裕があると、メニュー開発にコストを費やしたり、交通費のかかる遠方に出店できたりなど、多くのメリットを享受できるでしょう。
したがって、開業資金を最大限抑えることは、キッチンカーの成功確率を上げる重要ポイントになるのです。
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まとめ
本記事では、キッチンカーのメリットやデメリットについて、以下のポイントを中心にお伝えしました。
●新型コロナウイルスによって「キッチンカー」の需要が急増している ●キッチンカーは固定店舗と比べて「初期費用」が安いため開業ハードルが低い ●許可を取得すれば出店場所を自由に移動できる ●一方で、仕込み場所の確保や差別化が難しいなどのデメリットも ●キッチンカーで成功するためには、開業費用を抑えつつ、他の出店者との差別化を図ることが重要 |
固定店舗のような「家賃」や「人件費」がかからないキッチンカー。
初期費用を大幅に削減できるため、開業のハードルが低いのが魅力的です。
またお客さんに手渡しするだけの「テイクアウト」専門なので、大きな売上も見込めるでしょう。
一方、出店場所の確保や差別化が難しいなどのデメリットもあるため、お伝えした内容をしっかりと確認しておきましょう。
ぜひ本記事の内容を、ご自身のキッチンカー開業にお役立てください。