キッチンカーで調理し、お客様に出来立てを提供するためには熱源が不可欠です。
キッチンカーで使用する熱源は「プロパンガス」「電気」「カセットコンロ」の3種類が主流ですが、それぞれにはメリットとデメリットがあり、提供するメニューや出店場所に合った熱源を選ぶ必要があります。
この記事では、主流となっている3つの熱源の特徴から、選び方までをわかりやすく解説。
熱源でお悩みの方は、ご自身のキッチンカーで提供するメニューと照らし合わせて、参考にしてみてください!
キッチンカーで使用される熱源の種類
熱源の種類は「プロパンガス(LP)ガス」「電気(家電調理機器)」「カセットコンロ」の3つが主流です。
キッチンカーでの調理では電気やプロパンガスを使用することが多いですが、簡単な調理であればカセットコンロでも充分に賄えるため、自分にとって扱いやすいものを選ことも大切です。
それでは、それぞれどのような特徴があるのかを詳しく説明していきます。
プロパンガス(LPガス)
都市ガスとは違い、どこでも好きな場所で使用できるうえ火力が強い点がプロパンガス最大の魅力です。
移動しながら食品を調理・販売するキッチンカーにとっては、なくてはならない存在と言えるでしょう。
プロパンガスの使用は、ガス会社と契約してボンベを購入またはレンタルし、ガスを充填してもらって使用します。
プロパンガスのメリット
火力が強く、安定して燃焼しつづけられるのが最大のメリットで、本格的な調理と相性が良いのがプロパンガスです。
プロパンガスの火力はカセットコンロよりも圧倒的に強く、プロ仕様の業務用調理機器も豊富にあります。
たとえば、以下のような調理にプロパンガスは最適です。
・焼きそばやステーキなど、高温の焼き物に適した鉄板 ・おでんや鍋など常時温めることが必要なコンロ ・からあげや天ぷらなど高温でサクっと揚げるフライヤー |
さらには冬場の屋外イベントなどで暖房装置として活躍するパラソルヒーターにもプロパンガスを使用することができます。
プロパンガスのデメリット
ボンベの取り付けや圧力の設定、ガスの充填は有資格者に実施してもらう必要があります。
また現在の法律では、「万が一ガスによる問題が発生した場合、ガス会社が30分以内に駆けつけることができる範囲内で販売するように」と経済産業省より通達されていることもあり、個人でガス会社と新規契約しガスボンベを調達することが困難になってきている点もデメリットです。
キッチンカーは場所を移動しながら営業するので、ガス会社からすると30分以内に急行することは困難を極めます。
ガスボンベを車載、および使用する場合には「液化石油ガス保安規則」「高圧ガス保安法」等の規則・法令に従う必要がありますが、経済産業省の通達もこの規則・法令の一部なので、遵守しなければなりません。
なおガスボンベをレンタル・購入することができても、そのままでは使用することはできません。
ガスボンベにレギュレーター(圧力調整器)を取り付け、圧を調整することでガスの使用が可能となりますが、この作業も有資格者に実施してもらう必要があります。
まれにガス使用禁止の会場(出店場所)もあるため、念入りな情報収集と下準備が必要です。
プロパンガスを契約するコツや、詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
電気(家電調理機器)
一般の家庭でIHクッキングヒーターや電気圧力鍋などの「調理家電」の需要が増えている昨今、キッチンカーにおいても電気で熱源を確保する人が増えてきています。
調理機器の例として以下が挙げられます。
・焼き鳥やクレープなどに使用するホットプレート ・フライドポテトなど高温でなくても一定の温度管理ができる電気フライヤー ・パンを温め直したりピザなどで使用するオーブントースター |
ただし、加熱機器は使用電力が1,000wを超えるものもあるため、電源を借りた先のブレーカーが落ちてしまうことのないように配慮が必要です。
電源を確保する方法
電気を熱源とする際に、電源を確保する方法は大きく2つにあります。
①出店場所で電源を借りる方法
イベント会場では準備されていることが多いです。
➁発電機を使用する方法
発電機で発電する方法「ガソリンを給油し発電する方法」の他に、走行充電器(アイソレーター)やサブバッテリー、インバーターを使用し「車が走ることにより電力を貯め、使用する方法」があります。
電気のメリット
大きなガスボンベが必要なく、コンパクトかつ火力自体も安定しています。
ほかにも、狭い社内での一酸化炭素中毒の危険性、火災の危険が少ない点もメリットとして挙げられます。
電気のデメリット
高い火力が必要でなければとてもコンパクトで身近な電気熱源ですが、デメリットもいくつかありますので押さえておきましょう。
出店場所で電源を借りた場合、ブレーカーが落ちやすい
ひとつの調理機器で1,000W程度使用することが多いので、2つ以上の家電を同時に使用すると借りた先のブレーカーが落ちてしまうことがあります。
発電機の騒音が気になる
基本的に発電機にガソリンを入れて発電するため、大きな音をたてることがあります。
発電機の音がイベントの雰囲気を壊してしまうこともあるので、発電機専用の防音ボックスを使用するのも手です。
発電機を使用する場合、専用のケーブルとコンセントなどが必要
発電機とキッチンカーの家電をつなぐ際は、ただプラグを差し込むだけではありません。
専用のケーブルとコンセントが必要になることがあります。
20A以上確保可能なエンジン発電機は重くて積み下ろしが大変
キッチンカーでの使用に耐えうる20A以上の出力が可能な発電機は重さが数十kgにもなります。
防音ボックスも使用するとなれば、重みが増すことでさらに積み下ろしが大変です。
発電用のガソリンや消火器も必要
発電機用のガソリンは、消防法により自分で給油することはできません。
ガソリンスタンドにて、有資格者に給油してもらいましょう。
また電気火災用の消火器の設置も必要です。 自治体により消火器の種類や大きさも指定されていますので、確認しておきましょう。
インバーター方式でないエンジン発電機の場合、動作しない調理機器もある
車用の電圧(DC12VかDC24V)のままでは調理家電(AC100V)が使えません。
AC100Vへと変換するためのインバーターが必要です。
連続使用時に調理が追い付かない
家電調理機器は、同時にたくさん動かすことはできないため調理が追い付かないことがあります。
例えばクレープを焼いている間はブレーカーの問題がありコーヒーマシンが使えない、生地を作るためのハンドブレンダーが使えないなどです。
また、連続使用している途中で温度が上がらなくなることもあります。
電気を確保する方法については、こちらの記事もご覧下さい。
カセットコンロ
家庭でもよく使われているカセットコンロですが、キッチンカーでも使用することが出来ます。
とても手軽なイメージですが、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
カセットコンロのメリット
とてもコンパクトなので、狭いキッチンカーでも複数台同時に使用することができます。
またガス缶はコンビニなどでも手に入るため扱いが容易です。
カセットコンロのデメリット
冬場は火力が弱く、風が吹くと炎が揺れてしまい火力が安定しません。
最大火力で使うと30~40分程度でガス缶を1本消費するため、コストや取り換えの手間がかかるうえ、ガス缶のストックも必要です。
イベントで熱源を使用する際に消防署がチェックする項目
イベントに出店する際、使用する熱源(プロパンガス/電気)ごとに消防署がチェックする項目は異なります。
プロパンガスの注意点
プロパンガスにおける注意点を説明します。
有資格者でないと取り扱いができない部分もありますので、事前にチェックしておきましょう。
火気の周りが不燃物で覆われているか
ここでは火気とはコンロや鉄板、フライヤーなどの調理器具を指し、調理器具の近くには燃えないもので確認しておきましょう。
木でできた台に調理機器を設置していたり、すぐ横に材料が入った段ボールが置いてあったりすると燃えやすく危険です。
ガスボンベが倒れないように固定されているか
ガスボンベがチェーンなどで固定されているでしょうか。
ガスボンベを屋外に設置する場合、人が触ったりぶつかってしまう可能性があります。
もし人がぶつかってしまったり、万が一地震がきても倒れないようしっかりと固定しておきましょう。
ガスボンベに調整器が付いているか
調整器はボンベから出てくるガスの圧力を一定に保つための機器です。
圧力の設定は有資格者が実施する必要があるため、事前にガス会社の方に確認しましょう。
正しいガスホースを使用しているか
ガスボンベと調理器具を繋ぐホースは長すぎたり短すぎたりしないよう適切な長さにします。
またフライヤーを使用する際、機器によってはオレンジ色のゴムホースでなく鉄管接続式のものもありますので、ガス会社と相談しておきましょう。
プロパンガスに直射日光を当てない
ガスボンベを車内ではなく外に設置する場合、ボンベ自体が高温にならないよう日よけ対策をしましょう。
ボンベが高温になると、火災になる可能性があり大変危険です。
電気(発電機)の注意点
ガソリン携行缶は直射日光が当たらない場所への設置が必要
ガソリン携行缶もガスボンベと同様、屋外に設置する場合は直射日光が当たらない場所に設置しましょう。
発電機は設置場所付近に燃えるものがない場所・給油時は発電機をストップする
発電機に給油する際は、周りに燃えやすいものがないかを確認しましょう。
ガソリンは、液体にではなく液体が気化したガスに引火します。必ず発電機を停止してから行いましょう。
その他
2013年に起きた福知山の露店爆発事故を受けて、出店中は発電機への給油を禁止している消防もあります。
事前にガソリンを満タン給油しておきましょう。
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まとめ
いかがでしたか? キッチンカーの熱源は、「プロパンガス」「電気」「カセットコンロ」の3つが主流となっています。
提供する料理や調理器具によって、どれを使うのがベストか考えてみましょう。
なお熱源がどれであっても、消防署のチェックは必要です。
気持ちよく出店できるよう、事前準備をしっかり行うことが大切です。
こだわり抜いた車にお気に入りの看板やPOPでデコレーションして、料理と共にお客様に愛されるキッチンカーを作っていきましょう!
また、キッチンカーの内装について詳しくは、こちらの記事をお読みください。