「キッチンカーでパン屋を始めたい」そうは思っても、何から始めればいいかわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そういった方に向けてキッチンカーでパン屋を開業するために必要な準備について詳しく解説します。
きっと、キッチンカーでパン屋を始める際の流れやイメージを理解できるはずです。
また、メリットやデメリットについても解説しているので、開業の参考にしてみてください。
キッチンカー(移動販売)でパン屋を開業するメリット
キッチンカーでパン屋を開業する主なメリットは以下の4つです。
- 焼きたてを提供できる
- 提供に手間がかからない
- 種類が豊富で差別化しやすい
- 固定店舗より初期費用が安い
焼きたてを提供できる
車内にオーブンがあるキッチンカーでは、常に焼きたてのパンを提供できます。
パンはスーパーやコンビニでも手軽に買えますが、焼きたてのパンを食べられる機会はそう多くありません。
パン屋が近くにない地域では、焼きたてのパンは多くのお客様に喜ばれるため、集客にもつながるでしょう。
提供に手間がかからない
パンは作り置きができ、焼いたあとは袋詰めをして提供するだけなので、提供に手間や時間がかかりません。
また、焼いたパンをあらかじめフィルムや袋で包装しておけば、お会計時の手間をさらに省くこともできるため、急いでいる人や並ぶのが苦手な人などのニーズにも応えられます。
種類が豊富で差別化しやすい
パンには、食パンや菓子パン、総菜パンなどさまざまな種類があり、アイディア次第ではアレンジを無限に楽しめます。
他店にはないオリジナルメニューを作成することで差別化できるうえ、月毎の新作や期間限定メニューを販売することで、リピーターの獲得にもつながるでしょう。
固定店舗より初期費用が安い
キッチンカーのパン屋は、固定店舗よりも初期費用を抑えることができます。
固定店舗でパン屋を開業する場合、2,000万円前後の開業資金がかかりますが、キッチンカーで開業する場合は200〜500万円前後です。
土地代や敷金礼金、家賃などがかからない分、固定店舗に比べ初期費用を大幅に下げることが可能なのです。
キッチンカー(移動販売)でパン屋を開業するデメリット
キッチンカーのパン屋にはさまざまなメリットがある一方デメリットもあります。
キッチンカーでパン屋を開業する主なデメリットは以下の2つです。
- 仕込みに手間がかかる
- 流行に左右されやすい
仕込みに手間がかかる
パンを製造して販売する場合、仕込みに手間と時間がかかります。
生地から作る際は、まず小麦粉やドライイースト、脱脂粉乳、卵などの食材を仕入れる必要があり、さらに成形や発酵、焼き上げなどの仕込みをする必要があり、パンが完成するまでに3〜4時間程度かかるため、販売する時間から逆算して仕込みを始めなければいけません。
流行に左右されやすい
パンは流行に左右されやすく、売れる商品が変わりやすい特徴があります。
そのため、流行りの商品1つだけに絞って販売してしまうと、流行りが過ぎた途端に大幅に売上が下がってしまうリスクが考えられます。
そうならないためには、自社の定番商品はいくつか固定で販売したうえで、流行りの商品も提供するとよいでしょう。
キッチンカーのパン屋を成功させるには、流行を先読みしたり経営戦略を立てたりなどのビジネス的な視点も重要です。
キッチンカー(移動販売)のパン屋で失敗しないためには?
キッチンカーのパン屋で失敗しないためには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。
キッチンカーでパン屋を成功させるコツは、以下の3つです。
- オリジナルメニューで差別化
- 素材・製法にこだわる
- ニーズに合わせた場所に出店する
オリジナルメニューで差別化
キッチンカーでパンを販売する際は、オリジナルのメニューで他店と差別化をし、「ここでしか食べられない」特別感を演出することが大切です。
またキッチンカーでパン屋を開業する際、ライバルとなる店はキッチンカーでパンを販売している店だけではなく、スーパーやコンビニ、固定店舗のパン屋なども含まれます。
これらの店舗とキッチンカーでは、提供できるパンの品数が違うため一つひとつのパンにこだわりを感じさせることが大切です。
食パンやフランスパン、クリームパンなどの定番商品に加え、変わった食材の組み合わせや、地元の食材を使用したオリジナルパンなどを展開すると、個性が出て差別化を図れるでしょう。
素材・製法にこだわる
差別化を図るためには、素材や製法にこだわるのもおすすめです。
無添加のバターやマーガリンを使用する、化学合成物を使用した食品を使用しない、国産食材だけを使用するなど、ターゲットやニーズに合わせて、素材や製法にもこだわってみるのもよいでしょう。
素材にこだわることで小さい子どもやお年寄り、健康に気をつかっている人などに喜んでもらうことができます。
ニーズに合わせた場所に出店する
キッチンカーの売上をあげるためには、総菜パンを多く扱っている場合はランチの需要が高い場所、菓子パンが中心の場合は女性や子どもが多い場所など、顧客のニーズや設定したターゲット層に合った場所に出店することが大切です。
ニーズを調査するには、出店候補地の近くにあるスーパーやコンビニ、パン屋などに立ち寄り、その地域で品数の最も多いパンを調査するとよいでしょう。
よく売れてるパンを調べることで、自分のキッチンカーのコンセプトや販売している商品が出店場所のニーズに合っているかどうかを見極めることができます。
キッチンカーでパン屋を開業するために必要な準備
キッチンカーでパン屋を開業するための必要な準備について、流れや必要な資格・許可について見ていきましょう。
移動販売の開業までの流れ
キッチンカーを開業するまでの流れは以下の通りです。
- コンセプトや戦略を考え必要コスト・予算を算出する
- 開業資金を用意する
- 必要な資格・設備・手続きを行う
- 出店場所を確保する
- キッチンカーを用意する
- 必要な保険に加入する
- 食材を仕入れる
- 広告やSNSで宣伝する
キッチンカーを開業するまでにかかる期間は、3か月程度です。
1人でも多くのお客様に足を運んでもらうために、広告やSNSでの宣伝活動も積極的に行いましょう。
営業形態を決める
キッチンカーのパン屋の営業形態は以下の3つです。
- 生地から作って販売
- 委託製造したパンを販売
- 販売しているパンを移動で販売
生地から作って販売
パンを生地から作って販売する最大のメリットは、素材や原材料にこだわりを持てるため、グルテンフリーや低糖質、無添加など多様なニーズに応えることが可能です。
原材料をすべて地元産で揃えれば、地域の活性化にも繋がります。
生地から販売する場合、仕込み場所を確保する初期費用やスタッフの人件費、仕込み用の設備費などが余分にかかりますが、手作りのパンや焼きたてのパンは需要が高いため、十分にかかった費用を回収することが可能です。
委託製造したパンを販売
車内でパンを製造せず、他の会社やメーカーに委託製造したパンを販売することも可能です。
発注して届いたパンを包装して販売するだけなので、仕込みや調理にかかる時間と手間が省けます。
この販売方法は、できるだけ多くのパンを販売しつつ、オリジナルの商品も販売したいという方におすすめです。
販売しているパンを移動で販売
他の店や企業が販売しているパンを仕入れて販売する方法は、スーパーやコンビニをイメージするとわかりやすいかもしれません。
この場合、キッチンカーの初期費用や設備費を抑えられるのが大きなメリットです。
実店舗を持っていない事業者もこの方法で移動販売をすることが可能ですが、仕入れた食品を詰め直す場合は、販売業の許可が必要になることもあります。
移動販売で必要な許可や資格
移動販売で必要な許可や資格は、「営業許可」と「食品衛生責任者証」です。
営業許可はパンに限らず、キッチンカーで飲食物を販売する際に必要な許可です。
また、キッチンカー内で製造する場合は「食品営業自動車」、既存の商品を売る場合は「食品移動販売車」の申請を行います。
なお、キッチンカー以外の場所で製造したパンを移動販売で販売する際は、パンを製造する場所と販売する場所が異なるため、両方で申請が必要です。
食品衛生責任者証は、営業許可を申請する際に必要な資格で、キッチンカー1台につき1名以上在籍していることが条件です。
食品衛生責任者資格は、食品衛生責任者養成講習会を受講すると取得できます。
キッチンカーでパン屋を営業した場合の収益イメージ
キッチンカーでパン屋を開業した場合、どれくらいの利益が出るのか気になるでしょう。
以下では、パンの移動販売に必要な開業資金や運営費、利益について解説します。
パンの移動販売に必要な開業資金
パンの移動販売に必要な開業資金は、200〜500万円前後です。
開業資金に含まれる主なものは以下の通りです。
- キッチンカー車両代:100~300万円
- 調理器具:1~3万円
- オーブン:20万円前後
- 発酵機:2~4万円
- 包装:5,000円前後
- 販促品:1万円前後
- 食品衛生責任者の取得費用:1万円程度
キッチンカーの車両代は、レンタルやリースを利用することで抑えることができます。
オーブンと発酵機は卓上タイプで十分ですが、オーブンは家庭用だと連続で焼き上げることができないため、業務用のガスオーブンが必須です。
新品だと高価なものが多いですが、中古品を利用することで初期費用を大幅に抑えられます。
パンの移動販売にかかる主な経費
パンの移動販売にかかる主な経費は以下の通りです。
- 駐車場代:月2~6万円程度
- ガソリン代:月1~3万円(走行距離や車両の大きさによる)
- 保険料:年間4~7万円程度
- 車検代:2年間で4~7万円
- 水道光熱費:売上の1.5~2%程度
- 容器、包装の購入費用:売上の1%程度
- 出店料:1回2,000~10,000円
- 商品の仕入れ・材料費:売上の1~4%
その他、スタッフを雇う場合には人件費、メニューやショップカードなどの販促品を作る費用などがかかります。
また、出店料は基本的に平日よりも土日のほうが高くなる傾向があるため覚えておきましょう。
出店する場所にもよりますが、出店料の返金は不可能なことが多いので、キャンセルをする際には注意が必要です。
移動販売パン屋の利益
移動販売パン屋の売上は200〜400万円前後です。
一般的にパン屋の利益率は15〜20%と言われているため、利益は月間30〜80万円程だとわかります。
全国で人気のパン屋のキッチンカー
全国で人気のパン屋のキッチンカーを5つ紹介します。
パンとエスプレッソと博多っと
「パンとエスプレッソと博多っと」は、博多駅前にあるカフェです。
2021年2月から中央区薬院の常駐スポット「yakuin_terrace(薬院テラス)」で、キッチンカー販売を行なっています。
人気メニューである食パンの「ムー」や「めんたいメロンパン」、「糸島タマゴサンド」などを購入できます。
キッチンカーの詳細やメニューについては、公式サイトやTwitterをご覧ください。
エンゼル
「エンゼル」は、千葉県柏市で移動販売を行なっているキッチンカーです。
同じく柏市に実店舗があり、自家製にこだわったパンを全6台のキッチンカーで提供しています。
イベントにも力を入れている、地域密着型のアットホームなパン屋さんです。
エンゼルについての詳細は、公式サイトをご覧ください。
Marché Bakery(マルシェベーカリー)
「Marché Bakery(マルシェベーカリー)」は、株式会社Mellow(メロウ)と株式会社sacri(サクリ)が合同で運営を行なっているキッチンカーです。
複数のパン屋さんから商品をピックアップし、移動販売を行う新しいスタイルのキッチンカーで、パンの廃棄削減に貢献しています。
「sacri」のアプリを利用すれば、パンの取り置き予約もできるようです。
ESSEN(エッセン)
「ESSEN(エッセン)」は、神奈川県横浜市を中心に移動販売を行う、創業30年を誇るキッチンカーです。
工場で製造されたばかりの焼きたてのパンを、10台以上のキッチンカーで提供しています。
路上販売はもちろん、結婚式場や各企業の敷地内、学校などでも販売を行なっているようです。
くにぱん
「くにぱん」は、神奈川県茅ヶ崎市で販売を行なっているキッチンカーです。
週の半分は、茅ヶ崎市の自宅でパンの販売を行なっています。
人気商品は、国産小麦を100%利用した「食パン」と、湘南名物のしらすがたっぷりと入った「しらす塩ぱん」です。
グルテンフリーの商品や卵、牛乳を使用していない商品もあるため、アレルギーの人も安心して食べることができます。
パンの移動販売をお考えならMYキッチンカーへ
初めての移動販売をご検討の方は、お気軽にMYキッチンカーへご相談ください。
MYキッチンカーではキッチンカーの製造・販売だけでなく、リースや連たあるにも対応しています。
そのため、お客様のご予算やコンセプトに合ったキッチンカーを提案させていただくことが可能です!
またMYキッチンカーでは開業サポートや個別コンサル、出店場所紹介など開業前から開業後にわたってトータルでサポートさせていただきます。
キッチンカーの事なら、専門店であるMYキッチンカーにお任せください。
まとめ
アイディア次第で無限にアレンジを楽しめるのが、パン販売のいいところです。
自分で考案したオリジナルのパンをおいしそうに食べているお客様を見たときの感動は、計り知れないでしょう。
感動や幸せを与えられるパン屋を目指し、少しずつ開業準備を進めましょう。