新型コロナウイルスの影響もあり、感染リスクを軽減しつつおいしい料理を提供できることから、近年キッチンカーが注目されています。
そこで、これからキッチンカーでピザ屋を開業してみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ピザを販売する人気のキッチンカーや、開業時のコツ、必要な準備などを詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
キッチンカーでピザを販売するメリットとは?
ここでは、キッチンカーでピザを販売するメリットを4つ紹介します。
時間や出店場所に問わず人気が高い
ピザは昼食や夕食といった食事以外に軽食としても利用でき、時間帯を問わず人気です。
さらにオフィス街だけでなく、イベントやフェス・観光地でも需要があるため、出店場所を問いません。
たとえば、ランチ需要に限定されやすいカレーやうどんに比べると、ピザはさまざまな時間帯で出店場所を問わずに売上が見込めるでしょう。
「移動できる」キッチンカーの強みを活かして人が集まるところに出店できれば、結果として大きな売上につながる可能性があります。
移動販売のピザ屋の数はまだ少ない
移動販売のピザ屋の数はまだ少ない点も、キッチンカーでピザを販売するメリットでしょう。
ピザと言えば「宅配ピザ」という程、宅配ピザ屋の数は豊富ですが、移動販売をしているピザ屋は意外にも少ないのが現状です。
そのため、出店場所を争う競合が少なく、ビジネスチャンスが眠っています。
競合が少ないうちに販売が見込める出店場所を抑え、お客様の心を掴めばリピーターも獲得できるでしょう。
ピザ窯以外に必要な設備が少ない
キッチンカーに必要な設備としてはピザ窯がメインになるため、他の設備を準備する手間と費用を省けます。
提供するメニューの種類が多いと、大きな鍋やフライヤー、食材を保管する大きな冷蔵庫などが必要になり、設備を準備するだけでも手間と費用がかかるでしょう。
そこでピザなら、メインのピザ窯さえ手配すれば、あとは基本設備だけで営業を開始できるというわけです。
メニューの種類が多く差別化をしやすい
ピザは定番のメニューだけでも「マルゲリータ」「クアトロフォルマッジ」「ビスマルク」「ジェノベーゼ」などがあり、他店との差別化が容易です。
ほかにも、品種や産地にこだわった食材を使用したり近年急増しているヴィーガンメニューを提供したりするのもよいでしょう。
コロナ禍で需要が拡大したキッチンカーで、他店と差別化を図ることは成功するためのポイントの一つです。
キッチンカーでピザを販売するデメリットとは?
キッチンカーでピザ屋を開業するには、メリットだけでなくデメリットもあります。
生地作りに時間がかかる
ピザの調理行程の中で、生地を発酵させる作業は特に時間がかかります。
生地作りにはさまざまな作り方がありますが、基本的な作り方は下記の通りです。
- 粉類とオイル・ぬるま湯を入れてこねる
- 生地がまとまったら、状態を見ながら打ち付ける
- 1~2時間の一次発酵
- ガス抜きをしてから20分程二次発酵
- 生地を伸ばして完了
このように、生地を作るだけでも3時間ほどかかります。
キッチンカーでは具材のトッピングとピザを焼く作業だけですが、生地の仕込みに時間がかかることを覚えておきましょう。
ちなみに、生地の仕込みを自宅でしようと考えている方もいるかもしれませんが、ほとんどの保健所は自宅での仕込みを許可していません。
車内での仕込みも都道府県によって基準が異なるため、事前に出店する地域の保健所に確認をしておきましょう。
メニュー作りに工夫が必要
魚介や希少価値の高いチーズなどをトッピングに使用する場合は原価が高くなるため、メニュー作りに工夫が必要です。
思い切って「原価が高い具材は使わない」という方法もありますが、そうするとメニューの数が限られてしまいます。
そのため、数量限定メニューや目玉メニューとして提供するなど、メニューの構成をするうえで工夫が必要です。
他にも、家族連れのお客様におすすめのメニューとして魚介を使った「大人向けピザ」と、コーンやジャガイモなどの原価を抑えて作れる「子ども向けピザ」をセット販売するのもよいでしょう。
ピザ屋の移動販売で成功するコツとは?
ピザ屋の移動販売に興味があっても「成功するか不安」という方もいるでしょう。
ここでは、キッチンカーでピザ屋を成功させるコツを紹介します。
モチモチのピザ生地を使用する
差別化を図るポイントとして、モチモチの生地を使用したり自家製ソースを使用したりするなど、「この店でしか食べられない特別感」を演出することが大切です。
試食に時間をかけて生地の食感やトッピングをチェックし、集まった知見や経験を合わせながら、小麦粉の品種やソースの材料・発酵時間などにこだわってレシピを探究しましょう。
自分だけのオリジナル商品を提供することで、キッチンカーの繁盛につながります。
仕入れコストを安くする
インターネットや業務用食品店を利用し、大量にまとめ買いをしておけば、仕入れにかかるコストを抑えられます。
あらかじめチーズや具材がトッピングされている業務用のピザやピザクラフトなら、仕入れコスト削減に加えてキッチンカーでの作業工程も減り、提供スピードも改善できるでしょう。
もし、差別化にこだわって小麦粉やチーズなどを個別に仕入れたい場合も、ネットや業務用食品店を利用することで仕入れコストを安くできます。
仕入れコストを安くして原価率を抑えることも、ピザ屋の移動販売で成功するコツの1つです。
車体をおしゃれにする
キッチンカーは車体そのものに宣伝効果があるため、おしゃれでインパクトのある車体にすることも成功に欠かせません。
ピザはイタリアが発祥の地であるため、ヨーロッパをイメージした赤や緑などのカラーや、食欲をそそる黄色にするとおしゃれで目を引く存在になるでしょう。
黄色や赤は、ピザのチーズやトマトソースなどの色鮮やかなイメージにもぴったりです。
また、ピザ窯をお客様から見える位置に置けば、調理工程を目で見て楽しんでもらうこともできます。
キッチンカーでピザ屋を開業するために必要な準備
キッチンカーでピザ屋を開業するための準備や必要な資格を解説します。
キッチンカーで開業するまでの流れ
キッチンカーでピザ屋を開業するまでの流れは下記の通りです。
- コンセプトや戦略を考え必要コスト・予算を算出
- 開業資金の調達
- 必要な資格・設備・手続き
- 出店場所の確保
- キッチンカーの準備・仕込み場所の確保
- 必要な保険に加入
- 食材の仕入れ
- 広告・SNSなどで宣伝
また、開業についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
キッチンカーで必要な資格・許可
ピザに限らず、キッチンカーの開業に必要な資格と許可は、下記の2つです。
- 食品衛生責任者
- 飲食店営業
「食品衛生責任者」の資格は、出店する地域を管轄している保健所で申請・取得できます。
「飲食店営業」の許可申請には、「食品衛生責任者の資格」と「移動販売で使用する車の申請」の2つが必要になるため、まずは申請をしましょう。
詳しい営業許可取得方法はこちらの記事をご覧ください。
ピザ窯の種類
ピザを焼き上げる際に使用する窯にも種類がいくつかあり、燃料や形状などの違いはピザの味にも影響を与えます。
それぞれのメリット・デメリットと価格相場を比較して、自分が販売したいピザのイメージに合った窯を使いましょう。
薪を用いるピザ窯
薪が燃料の本格的なピザ窯で、本体価格は100万円前後が相場です。
加えて排煙用に煙突の設置費用もかかるため、トータルではさらに設置費用が高くなります。
メリット
- 表面がパリッとして中はもちもちの本格的なピザを作れる
- 薪特有の香ばしい香りがする
- 電源を確保しなくてよい
デメリット
- 気薪の量を調整する必要があり手間がかかる
- 煙突から排出される煙がトラブルになる可能性がある
- 価格・ランニングコストが高い
フリーハンド社では、薪を燃料とするキッチンカー専用のピザ窯が販売されています。
断熱保温性能が優れているため、一般的なピザ窯より少ない薪でピザを焼けるのが特徴です。
また、車内でも使いやすいコンパクトサイズでありながら、ピザの2枚焼きもできます。
ガスを用いるピザ窯
ワンタッチでピザを焼けるため、初心者でも扱いやすく安定した味を目指したい方におすすめです。
本体価格は50~100万円前後が相場ですが、200万円前後かかるものもあります。
メリット
- 簡単に導入できる
- 初心者でもムラなく焼き上がる
- メンテナンスが簡単
デメリット
- ガスを手配する手間がかかる
有限会社アイ・ジィ・エーが販売するピザ窯は、内部に天然溶岩⽯が使用された独自の構造により、サクサクでもっちりしたピザを焼き上げられます。
30cmのピザを2枚焼きできるほか、1枚90秒で焼き上げるスピーディーさも備えているのが特徴です。
鮮やかな赤色が目を引くデザインで、キッチンカーにもぴったりでしょう。
電気を用いるピザ窯
引用:http://www.maruzen-kitchen.co.jp/
電気が燃料のピザ窯で、本体価格は100万円前後が相場です。
ガス窯と同様にワンタッチでピザを焼けるため、気軽に扱えます。
メリット
- 安全性が高い
- 火入れする手間を省ける
- 操作がシンプルで使いやすい
デメリット
- 薪やガスに比べると味が劣る
業務用厨房機器メーカーmaruzenのピザ窯は、最高500度の高温加熱により90秒という速さで本格ピザを焼き上げるのが特徴です。
蓄熱性にも優れているため、ピザの連続焼きもできます。
また、60cmの作業台に設置できるほどコンパクトで、キッチンカーでも使いやすいでしょう。
ペレットを用いるピザ窯
引用:https://www.pellet-bbq.com/
ペレット窯はガス窯と薪窯のメリットをもち、キッチンカーでもよく使用されているピザ窯です。
本体価格の相場は70~200万円を超えるものまで、商品によって差が大きい傾向にあります。
燃料となる木質ペレットは、乾燥した木材を圧縮して作られたもののことです。
メリット
- 温度設定が簡単で誰でも使いやすい
- 本格的な香ばしいピザができる
- 設置やお手入れ・メンテナンスも簡単
- 低価格で導入できる
デメリット
- ペレット材は水気に弱い
Bakecookは木質ペレットが燃料の環境にやさしいピザ窯で、かつ燃料は自動で送り込まれるため、火力の調整や操作の手間がかかりません。
最高温度は600度で、サクサクの本格ピザを焼き上げられます。
ピザとオーブン調理が同時にできるものやコンパクトなものなど複数のモデルが販売されているため、キッチンカーの内装や取り扱うメニューに合わせて選んでみてください。
移動販売のピザ屋におすすめの車両
ピザの移動販売にはピザ窯が必要不可欠ですが、その他にも冷蔵庫やピザにトッピングをするための調理台などが必要です。
特に、ピザ窯の種類によっては小さい車両には積めないため、1.5tトラックならスペースにゆとりができるでしょう。
また1.5tトラックは、普通自動車と同じ感覚で運転できることから、キッチンカー業界でも近年人気の車両です。
ピザキッチンカーの開業に必要な費用
ピザのキッチンカーを開業するには、初期費用として500万円前後の資金が必要と考えましょう。
キッチンカーや設備、備品の購入費用をはじめ、営業許可の取得費用などが含まれます。
また、開業直後は売上が安定しにくいため、初期費用とは別で3か月分ほどの運用費や生活費も準備しておくと安心でしょう。
ピザを販売する人気のキッチンカー
まずは、全国でピザを販売する人気のキッチンカーを4つ紹介します。
ぜひピザ屋を開業する際のメニュー作りの参考にしてください。
Pizzeria mum(ピッツェリアマム)
「ピッツェリアマム」は、鳥取県米子市で営業を行なっているキッチンカーです。
定番の「マルゲリータ」や「フォルマッジ」以外にも、「こだわりコーン」や「てりやきチキン」など、子どもが喜ぶようなメニューを豊富に取り揃えています。
生地には地元ブランドの小麦粉である「大山こむぎ」を使用し、ピザ生地は耳までモチモチで人気です。
石窯PIZZA屋台ボッケーノ
「石窯PIZZA屋台ボッケーノ」は、愛知県や三重県を中心に営業を行なっているキッチンカーです。
国産小麦と天然酵母を使ったピザ生地を、薪で焚く石窯で焼く看板メニューの「マルゲリータ」は人気があります。
定番メニューの他に日替わりのピザが2種類あり、それぞれに旬の食材がトッピングされていて、毎回違うメニューを楽しめるでしょう。
MAPS(マップス)
「マップス」は金沢を中心に、石窯で焼いた本格的なピザを販売しています。
ピザ生地は添加物と卵を使用しておらず、トッピングもその土地の農家で収穫された食材を使っているのが特徴です。
また、木材ペレットを使用した本格的な石窯で一気に焼き上げるため、薪窯と同じ木の香ばしさを味わえます。
石窯PIZZAレガーレ
「レガーレ」は栃木県宇都宮市を中心に、キッチンカーで移動販売を行なっています。
栃木県産小麦ゆめかおりを100%使用し、2日間かけて低温熟成した手作りの生地は、外はサクサク、中はもちもちで「生地だけでもおいしい」と評判です。
またレガーレのピザはサイズを選ぶことができ、1人で食べきれるものや2人でシェアできるものなど、人数に応じてちょうどよいボリュームを楽しめます。
ピザのキッチンカー製作なら全国対応のMYキッチンカーへ
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お客様のご予算や開業イメージに合わせて、専門家の視点から最善のプランをご提案いたしますので、初めてキッチンカーを開業される方でも安心してお任せいただけます。
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まとめ
キッチンカーでピザ屋を開業する際のポイントは下記の通りです。
- 他社との差別化や車体にもこだわることが成功のコツ
- キッチンカーでの営業に必要な資格・許可は食品衛生責任者と飲食店営業
- キッチンカーに車載するピザ窯はペレット窯が注目されている
- ピザ窯を積むなら1.5tトラックがおすすめ
ピザは時間や場所を問わず人気のグルメであり、移動販売のピザ屋の数もまだ少ないことから、出店場所を選びやすい点がメリットです。
とはいえ、定番のメニューをそのまま提供するだけではお客様は増えないため、生地やトッピングを工夫してオリジナルのピザを販売しましょう。
ぜひ本記事を参考に、ご自身のキッチンカーでピザ屋の開業を実現させてください。