キッチンカー開業に必要な資格は
- 食品衛生責任者
- 保健所の営業許可
の2つです。
調理師免許を持っていなくても、食品衛生責任者の資格を取得すれば、キッチンカーで調理可能なため、他に必要な免許は運転免許だけとなります。 この記事ではそれぞれ詳しく解説していきます。
キッチンカー開業について詳しく知りたい方はこちらの記事もお読みください。
調理師免許は無くてもOK!代わりに食品衛生責任者を取得
キッチンカーの開業に調理師免許の資格は必要なく、「食品衛生責任者」の資格さえ保持していれば開業することができます。
食品衛生責任者は、飲食店や販売店などの営業許可施設ごとに必ず1名以上置く必要があります。
キッチンカーの場合も同様に、施設ごとに営業許可を取得し、1名以上の食品衛生責任者を配置しなければなりません。
食品衛生責任者の資格は、この後説明する「保健所の営業許可」を取得する際に必要な資格なので、最優先で取得するようにしましょう。
食品衛生責任者の取得方法
食品衛生責任者は、各都道府県の食品衛生協会が開催している「食品衛生責任者養成講習会」を受講することで取得できます。
この講習会は1日で受講することができ、受講終了証は講習会の受講終了後当日に受け取ることができます。
また、この資格は全国共通なので1か所で取れば再度取得する必要はありません。
医学、薬学、歯学、畜産学、獣医学、農芸化学又は水産学の課程を修めて卒業した人、栄養士や調理師などの免許を取得している人は受講を免除することができます。
受講の申し込みは、各都道府県の食品衛生協会のホームページを確認してください。
講習会は月に数回開催されますが、地域によっては申込者が多く、すぐに定員に達してしまうため、なるべく早めに申し込むことをおすすめします。
更新期間
食品衛生責任者の資格には期限がなく、更新は不要です。
しかし地域によっては、数年に1度などの実務講習会の受講が義務付けられていることもあるため、取得した際に尋ねましょう。
受講費用
受講費用は都道府県ごとに異なりますが、3,000~10,000円程度です。
実務講習会の受講が義務付けられている地域では、食品衛生責任者養成講習会の受講料に加え受講料が必要になる場合もあります。
保健所の営業許可は営業地域ごとに取得する
キッチンカーで営業するには、営業地域ごとに保健所の営業許可を取得する必要があります。
例えば、東京で保健所の許可を取得して営業したあと、他の地域で営業するにはその地域でも許可を取得する必要があるのです。
先述した通り、営業許可の取得には「食品衛生責任者」の資格が必要なので、食品衛生責任者を先に取得するようにしてください。
営業許可の種類
取得する営業許可の種類は、提供するメニューの種類によって異なり、複数のメニューを取り扱う場合は、該当する許可をすべて取得する必要があります。
営業許可証の種類を以下の表にまとめています。
どのように分類されているか詳しく解説していきますので、必要になる許可証を把握するようにしましょう。
分類 | 業種 | 内容 |
食品営業自動車(調理営業) | 飲食店営業 | 焼きそば、サンドイッチ、カレー、弁当など アルコール販売OK |
菓子製造業 | ケーキ、パン、クレープなど | |
喫茶店営業 | 紅茶やコーヒーなどの飲料、アイスクリーム、かき氷など アルコール販売NG | |
食品移動自動車(販売業) | 食料品等販売業 | 袋詰めされたパン、パック詰めされたお弁当や惣菜など |
食肉販売業 | 包装された鳥獣の生肉など | |
乳類販売業 | 包装された牛乳、乳飲料など | |
魚介類販売業 | 鮮魚介類で生食用魚介類は、あらかじめ包装されたものに限る |
まず、営業許可の種類は以下の2つに大きく分けることができます。
- 食品営業自動車業(調理営業) → 車内で調理・販売する場合(生もの不可)
- 食品移動自動車(販売業) → すでに加工済みの食品を営業者で販売する場合
このうち、キッチンカーは主に前者の「食品営業自動車業」に該当します。
さらに、「食品営業自動車業」は以下の3つに分けられます。
- 飲食店営業
- 喫茶店営業
- 菓子製造業
カレーとソフトドリンクを販売する場合は、①➁の両方を取得し、それに加えて梱包された牛乳や袋詰めされたパンを売る場合は、別途「食品移動自動車」として追加で営業許可を取得することが必要です。
キッチンカーは一般的に食品営業自動車業に位置づけられますが、食品移動自動車業に含ま れるものを販売する場合は食品移動自動車業の許可証も必要になるので注意してください。
営業許可申請でチェックされる項目
営業許可を取る時にチェックされる主なポイントは以下の9点です。
チェックポイントを一つずつ見ていきますので、申請をする前に条件を満たしているか確認してみてください。
- 運転席との仕切り
- 給水・排水タンク
- シンクの数
- 収納
- 手洗い石鹸
- 換気扇
- 冷蔵庫
- ゴミ箱
- 仕込み場所
運転席との仕切り
バンタイプの軽自動車の場合、運転席と調理場が仕切られていなければなりません。
食中毒を防止するためにも調理場の衛生管理を徹底するようにしましょう。
ただ、軽トラックをベースにしたキッチンカーの場合は特に気にする必要はありません。
給水・排水タンク
衛生を保つために、給水・排水タンクの容量が十分に確保されている必要があります。
規定の容量は営業する自治体や業種によって異なるため、基準値を超えているか必ず確認してください。
シンクの数
シンクの数と大きさは地域によって基準が異なりますが、最低でも2カ所は設置しなければいけません。
詳細は各自治体の保健所に問い合わせるようにしてください。
収納
食品や食器を収納するスペースが十分に確保されているかどうかという点が、チェックポイントのうちの一つに入ります。
収納は虫やホコリが入らないようしっかりと扉が閉まるか、隙間ができないか等もチェックされますので、事前に確認しておきましょう。
手洗い石鹸
食品を扱うので、食中毒が起こらないよう手洗い石鹸や消毒用のアルコールを常備する必要があります。
石鹸の不足がないよう準備しておきましょう。
換気扇
キッチンカーであっても換気扇の設置は必須です。
キッチンカーには窓があるので換気扇がなくても問題ないと思いがちですが、必ず換気扇を付けるようにしてください。
冷蔵庫
冷蔵庫も必ず調理場に設置しておく必要があります。
業務用であれば最初から付いていますが、外からわかる温度計が付いていなければなりません。
温度計が付いていなければ隔測温度計を用意しておきましょう。
ゴミ箱
ゴミ箱は蓋付きのものを設置しなければなりません。
必ず蓋付きのものを用意しましょう。
仕込み場所
仕込み場所とは提供する料理の下準備をする場所のことで、多くは「事前に生地を混ぜる」、「食材を切る」等の作業を行う場所のことです。
ほとんどの保健所では仕込み場所を自宅にすることを禁じているため、仕込み場所を別途確保しなければなりません。
仕込み場所を営業する場所とは異なる地域にした場合、営業場所と仕込み場所で2つの営業許可を取得する必要があるため注意してください。
取得方法
営業許可証の取得方法について、解説していきます。
①事前相談
まずはキッチンカーの図面等を持参のうえ、各都道府県の保健所に出向いて事前相談をしましょう。
上記で説明したように、営業許可申請でチェックされる基準は地域によって異なるため必ず事前に相談に行く必要があります。
事前相談をせずに申請をした場合、キッチンカーをせっかく整備しても基準を満たしていない部分は直さなければならず手間が増えてしまいます。
なお、営業許可証を取得するには食品衛生責任者の資格を保持していることが条件であるためこの段階で食品衛生責任者の資格は取得しておかなければなりません。
➁申込書の提出
事前相談をした後は、キッチンカーの製作に移ります。
キッチンカーが準備できたら申請書類を提出しましょう。
必要な申請書は以下の通りです。
ただし、申請書類も地域によって異なる場合があるので事前相談の際に確認した方が良いでしょう。
- 営業許可申請書
- 営業施設の大要・配置図
- 食品衛生責任者の資格証
- 許可申請手数料
- 登記事項証明書(法人の場合)
- 水質検査成績書(貯水槽使用水、井戸水使用の場合)
③キッチンカー検査日の決定
保健所の担当者の方とキッチンカーの検査日を決めます。
④キッチンカーの検査実施
キッチンカーが申請書の通りであるか、基準に合致しているかどうかを保健所の担当者の方に検査してもらいます。
この際、検査には営業者が立ち会わなければなりません。
また、基準を満たさない場合は許可が下りないため、指摘を受けた点を改善して改めて検査日を決め再検査を受ける必要があります。
基準を満たした場合は、「営業許可書交付予定日のお知らせ」が交付されます。
⑤営業許可書交付
営業許可書交付予定日になったら、「営業許可書交付予定日のお知らせ」と認印を持参し保健所で営業許可証を受け取ります。
更新期間
営業許可の有効期限は5年間です。
設備の劣化などに伴って保健所の基準を満たさなくなるケースがあるため有効期限が設けられています。
期間満了の1か月前に更新手続きをしましょう。
取得費用(手数料)
営業許可の申請には、手続きに発生する手数料を支払わなければなりません。
手数料は各都道府県や業種によって異なりますが、1つの許可で15,000円程度になります。
複数許可を取得する場合は、許可証ごとに手数料がかかります。
また、更新の際も手数料がかかるため、金額を確認のうえ更新手続きをしましょう。
注意点
必ず事前に相談する
営業許可を取得するにはキッチンカーの設備が基準を満たしている必要があります。
WEB上で基準値について記載しているページもありますが、最終的に判断するのは各都道府県の保健所です。
自分が得た情報と認識相違がないかどうか必ず事前に確認するようにしましょう。
営業許可はキッチンカーの台数分必要
営業許可はキッチンカーの台数分必要になります。
2台で販売する場合、1つの許可証で使い回すことはできないので気を付けてください。
キッチンカーの営業許可取得に関して詳しくはこちらの記事をお読みください。
キッチンカー開業に必要な免許
キッチンカーの開業に調理師免許が必要ないことは先述した通りですが、キッチンカーを運転するには運転免許が必要です。
普通免許で対応できる車種は多い
キッチンカーを運転するには特別な資格は必要なく、普通免許だけで運転できる車種がほとんどです。
ただ、免許の取得時期やキッチンカーの車両によっては条件が変わってくるため以下で解説します。
2007年以降に取得した人は運転できる車両が異なる
免許の取得時期によって、運転可能な車両が異なります。
2007年6月2日以降に免許を取得した人は、以下の表を参考に運転可能な車両を確認しましょう。
免許取得時期 | 車両総重量 |
2007年6月1日以前 | 8t未満 |
2007年6月2日~2017年3月11日 | 5t未満 |
2017年3月12日以降 | 3.5t未満 |
牽引タイプは車両総重量と全長次第
牽引タイプのキッチンカーだと通常「牽引免許」が必要になりますが、小さいトレーラーなら普通免許で運転が可能です。
普通免許で牽引できる条件は以下の2点です。
- トレーラーの重量と最大積載量を合わせた「車両総重量」が750kg未満
- トレーラー+牽引車の全長が12m未満
この条件を満たさない場合は、牽引免許が必要になります。
キッチンカー開業のご相談はMYキッチンカーへ
キッチンカーを開業するまでには、車両の準備だけでなく営業許可の取得申請を含めた各種手続きが必要です。
なかには、地域によって異なる基準を設けられているものもあり、ただでさえ開業準備に追われている状況で手続きを進めることは難しいと感じる人も多いでしょう。
MYキッチンカーでは、車両の製作・販売だけでなく、開業前の各種手続きのサポートも行なっております。
また、開業に向けた出店場所の紹介から、開業後の経営サポートや車両のアフターフォローまで一括でサポート可能です!
キッチンカーで独立・開業をお考えの方はぜひMYキッチンカーにご相談ください。
まとめ
キッチンカーを開業するために必要な資格は「食品衛生責任者」と「保健所の営業許可」の2つで、必要な免許は「運転免許」のみです。
飲食店での就業経験がない方であってもキッチンカーを開業するハードルは低く、新規ビジネス展開として、キッチンカーでの移動販売を検討されている方もいるのではないでしょうか。
とは言うものの、キッチンカーの製造には保健所の審査がありますし、車両の選定や開業後の営業方法についても不明点が生じことがあるでしょう。
MYキッチンカーでは、キッチンカーの製作・営業支援を行っています。
キッチンカーを開業したいけれど不安がある方は一度相談してみてはいかがでしょうか。