日本の伝統食品として親しまれる「うどん」は、讃岐うどんや稲葉うどんなど有名なご当地うどんが多く、アレンジのバリエーションも豊富です。
また、調理の手間がかからないためキッチンカーによる移動販売に向いています。
この記事では、「キッチンカーでうどんを販売したいけど、何から始めたらいいのかわからない」とお悩みの方へ、開業方法や成功のコツを解説します。
キッチンカー開業をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
うどん屋を移動販売で開業するのってあり?
新型コロナウイルスの流行後、飲食店には適切な換気とソーシャルディスタンスの確保が求められるようになり、キッチンカーの需要は増しています。
なかでも「うどん」は子どもから高齢者まで食べやすく、どの世代にも安定して人気があるため、販売しやすいメニューです。
また、屋外で食べるうどんは自宅で食べるものとはまた違った味わいが楽しめるため注目を集めています。
キッチンカーでうどん屋を開業するメリット
キッチンカーでうどん屋を開業する最大のメリットは、スムーズなオペレーションを実現できることです。
先に麺を打っておけば、車内では麺を茹でてつゆを注ぐだけで済むため、調理の手間がかかりません。
また、だしのみを自家製にして、麺は製麺所のものを使用すると調理がより簡単になります。
開業にかかる初期費用も比較的安く、200〜500万円ほどの資金で始められるのも大きな利点と言えるでしょう。
キッチンカーでうどん屋を開業するデメリット
一方、客単価が低いことやランチタイム以外では売れにくいことなどがデメリットに挙げられます。
そのため、オリジナルメニューを出したりトッピングやサイドメニューを充実させたりなど、売上を上げるための工夫が必要になるでしょう。
キッチンカーでうどん屋を開業する方法は?
次に、キッチンカーでうどん屋を開業する方法について解説します。
必要な資格や許可、設備についても紹介するため、ぜひ参考にしてください。
うどんを移動販売するために必要な手続きの流れ
うどんを移動販売するためには、以下のような流れで手続きを行ないます。
1. お店のコンセプトや戦略を考える 2. 開業に必要なコストや予算の算出 3. 開業資金の調達 4. キッチンカーおよび車内設備の用意 5. 開業に必要な資格取得および手続き・設備の用意 6. 出店場所の確保 7. 自動車保険や製造物責任保険への加入 8. 食材の仕入れ 9. チラシやSNSなどによる宣伝 |
お店のコンセプトや戦略は、キッチンカーを開業するうえで非常に大切な要素です。
うどんを販売する場合、うどんの種類や味、具材などを具体的に挙げてメニューを考案しましょう。
また、地域によるだしの好みや麺の違いについて考慮することも大切です。
また、うどんの麺を自家製にするのか製麺所から仕入れるのかによっても、必要な手続きが異なります。
製麺所の麺を使用するのであれば問題ありませんが、自家製にする場合は仕込み場所が必要です。
自宅での製麺が難しい場合は店舗を間借りするなど、仕込みが可能なスペースを用意しましょう。
キッチンカーの開業に必要な手続きについては、以下の記事をチェックしてみてください。
営業に必要な資格や許可について
うどんの移動販売を行うには、「食品衛生責任者証」と「保健所の営業許可」を取得する必要があります。
食品衛生責任者証は約6時間の講習で取得できるため、大きな負担にはならないでしょう。
営業許可に関しては、車内で調理・販売する「食品営業自動車」と調理・加工済みのものを移動販売する「食品移動自動車」がありますが、うどんは食品営業自動車に該当します。
さらに食品営業自動車の種別で言えば、うどんは飲食店業です。
また、出店場所によっては「道路使用許可」も得なければなりません。
とはいえ、祭事やイベント以外で認可されることは稀なため、基本的には商業施設の一角を利用して営業することになるでしょう。
キッチンカー開業に必要な資格・許可について詳しく知りたい方は、下記のリンクもご参照ください。
キッチンカーでうどんを提供するために必要な設備
キッチンカーでうどんを販売する際に必要となる設備は以下の通りです。
● 冷蔵庫および冷凍庫 ● シンクおよび手洗い台 ● ゆで麺機 ● 換気扇 ● 給排水タンク ● 電源装置 ● コンロ ● ゴミ箱 ● 調理器具(寸胴鍋) |
上記の設備はあくまで基本的な設備であるため、必要に応じて揃えましょう。
たとえば、選べるトッピングをメニューに加えるのであれば、ショーケースなどの設備が必要です。
また、うどんのように大量の水を必要とするキッチンカーは、「200L以上」の給排水タンクを用意しなければなりません。
保健所の営業許可を得るうえで非常に重要な設備であるため、しっかりと確認しておきましょう。
うどんの移動販売でおすすめの車両
一口にキッチンカーといっても、軽トラックや軽バン、普通車バン、1tトラックなどさまざまな種類があります。
車種に決まりはありませんが、うどん屋のような大容量の給排水設備を必要とするお店には1tトラックがおすすめです。
車内が広く走行性能も高い1t以上のトラックであれば、立ったまま調理ができるうえ、広いエリアで出店できるといったメリットがあります。
ただし、製作費用の高いことや出店スペースが限られることなどもデメリットとして挙げられるため、コストや出店場所を考慮したうえで適切な車両を選びましょう。
どんなうどんを販売する?うどんの種類と特徴
キッチンカーでうどんを販売する際には、どんな種類のうどんで勝負するのかも重要なポイントです。
ここでは、代表的なうどんの種類とその特徴について解説します。
日本五大うどん
日本各地にはご当地ならではのうどんがあり、その代表格が讃岐うどんをはじめとする「日本五大うどん」です。
讃岐うどん | 香川県の特産品で、コシの強さとつるつるとした喉越しが特徴です。 だしやつゆに決まりはなく、かけうどんやぶっかけうどんにして食されることがほとんどです。 |
稲庭うどん | 秋田県の特産品で、昔ながらの手延べ製法で作られ、うどんというよりもそうめんに近い印象があります。 平べったい形状となめらかな食感が特徴で、つゆや食べ方もさまざまです。 |
水沢うどん | 群馬県の特産品で、特殊な工程によってコシと弾力のある食感を実現しています。 細く白い麺であり、しょうゆだれやゴマだれで食べることが多いようです。 |
五島うどん | 長崎県五島列島発祥のうどんで、一般的なうどんよりも細く生パスタのような食感の麺が特徴です。 濃厚なあごだしベースのつゆを合わせます。 |
氷見うどん | 富山県氷見市発祥のうどんで、細く平たい形状と餅に似た粘り・コシのある麺が特徴です。 さまざまなつゆに合い、冷やしうどんでも温うどんでもつるつるとした喉越しが楽しめます。 |
これら日本五大うどんの他にも、薄くて平たい見た目が特徴である愛知県名古屋市の「きしめん」、帯のように幅が広い群馬県桐生の「ひもかわうどん」などがご当地うどんとして有名です。
関東風・関西風うどん
うどんは「関東風」か「関西風」かによっても味わいが異なります。
関東風は、鰹節を中心に昆布や煮干しなどでとっただしを使っているのが特徴です。
味付けには濃口しょうゆを使用し、しっかりとしたしょうゆの味が感じられるでしょう。
一方、関西風は昆布の旨みを活かしたあっさりめのだしで、風味付けに薄口しょうゆや塩を使います。
また関東風のだしは「つゆ」、関西風のだしは「おだし」と呼ばれているのも違いの一つです。
麺に使用する「うどん粉」の違い
うどんは、麺の食感や喉越しでおいしさが決まると言っても過言ではありません。
たとえば、うどんの麺は一般的に中力粉を使用しますが、タピオカ粉を入れるともちもちとした食感が強くなります。
また最近では、栄養価の高い全粒粉入りのうどんが登場しており、喉越しよりも小麦の香りや味を楽しむ人が増えています。
全粒粉の粒がよいアクセントとなり、一般的なうどんとは少し違った食感を楽しめるでしょう。
さらに生地に魚粉を練り込んだ魚粉入りうどんもあり、魚介の旨みが味わえます。
キッチンカーでうどん屋を成功させるコツ3選!
先ほども述べたように、うどんはそもそもの単価が低く、時間帯によっては思うように売れないこともあるでしょう。
よって、キッチンカーによるうどん販売で成功するには、メニューや販売方法を工夫することが大切です。
ここからは、キッチンカーでうどんを販売する際のコツについて解説します。
トッピングやサイドメニューを充実させる
売上を伸ばすための最もシンプルな方法が、トッピングやサイドメニューを充実させることです。
たとえばトッピングなら、天ぷらや肉類、山菜、温泉卵などさまざまなものがあります。
特に天ぷらはうどんとの相性がよく、数種類の具材を用意するだけでもメニューの幅を広げられるのが魅力です。
トッピングを別料金にして追加できるようにすれば、客単価アップにつながるでしょう。
また、うどんだけでは物足りないと感じる人向けに、おにぎりやおでん、いなり寿司といったうどんに合うサイドメニューを設けるのもおすすめです。
仕込みや配置スペースを確保するなど手間はありますが、メニューを選ぶ楽しさがあることはお客様にとっても嬉しいポイントと言えます。
変わり種メニューでオリジナル要素を出す
定番メニューに加え、変わり種メニューを売り出すのも売上を上げる方法の一つです。
見た目や味に独自性や斬新さがあれば、口コミやSNSでお店の評判が広がり、より多くの集客を期待できるでしょう。
ナポリタンうどんやカルボナーラ風うどん、タイ風うどんなど、意外な組み合わせがヒットするかもしれません。
素材にこだわり特別感を演出する
うどんは手軽に食べられるファストフードだからこそ、素材に特別感をもたせることも大切です。
使用するうどん粉や製法にこだわることで、他店との差別化を図ることができます。
色や見た目の違いが出る素材を活かすのもおすすめです。
全国で人気のうどんキッチンカーを紹介
最後に全国で活躍するうどんのキッチンカーを紹介します。
うどんの移動販売を成功に導くためにも、それぞれのお店が取り組んでいる戦略やメニューの工夫を把握して、自身のキッチンカー開業に必要なノウハウとは何か考えてみましょう。
丸亀製麺
日本屈指のうどん専門店として全国各地に店舗を展開する「丸亀製麺」ですが、2021年からはキッチンカーの営業も行なっています。
国民的アイドルグループである「TOKIO」とのコラボレーション企画に始まり、人気の定番メニューから「トマたまカレーうどん」などの変わり種メニューも販売中です。
丸亀製麺といえば、国産小麦粉100%の自家製手打ち麺が自慢で、だしは昆布だしを使っています。
讃岐うどんへのこだわりを追求し、コシがあるつるつるとした食感が特徴です。
キッチンカー今ちゃん
うどんの変わり種メニューを販売するキッチンカーの代表例が「キッチンカー今ちゃん」です。
讃岐うどんを使用したカルボナーラ風うどんをメインとし、明太子やミートソースなどさまざまなアレンジをしています。
トッピングも通常とは異なり、ベーコンやキムチといったメニューのアクセントになる食材を用意しているのがポイントです。
さらにドリンクやフランクフルトなどのサイドメニューも充実しています。
佐藤養助商店
「佐藤養助商店」は、秋田県の稲庭うどんを販売するキッチンカーです。
普段は全国各地に複数ある店舗を経営していますが、秋田県内を中心にイベントや祭事への移動販売も行なっています。
キッチンカーには本格的な厨房設備を搭載し、店舗で食べる味をそのまま提供しています。
温麺や卯の花麺、みそ汁サイズのうどんなど、お店ならではのメニューが用意されているのも人気の理由の一つです。
文ちゃんのキッチンカー 紀伊路
「文ちゃんのキッチンカー 紀伊路」は、関東を中心に三重県の伊勢うどんを販売するキッチンカーです。
「昔懐かしさ」をコンセプトにリーズナブルな価格でうどんを提供しています。
トッピングはかまぼこやネギといった定番のものから、えび天、肉、トロロまで幅広く揃えているのが特徴です。
また、「カレー伊勢うどん」といった変わり種メニューもあります。
ご当地うどんをあえて他の地域で販売することで、物珍しさや特別感を演出している点がポイントです。
やすまるうどん
「やすまるうどん」は、四国で有名なだしパックメーカー「高橋商店」が経営するうどんキッチンカーです。
イベントなどを中心に出店しており、だしメーカーならではのだしが効いたうどんを提供しています。
メニューはだしの旨みを活かすため、かけうどんやぶっかけうどんなどのシンプルなラインナップです。
トッピングにはとり天やかき揚げが用意され、味の変化を楽しめるように工夫されています。
資さんうどん
「資さんうどん」は、北九州を起点にオリジナルのうどんを販売しているうどん屋です。
麺には独自ブレンドの「資さんうどん専用粉」を使用し、なめらかでもっちりとした口当たりのよい食感を実現しています。
また、だしにもこだわりが見られ、昆布や椎茸に加えて鯖(さば)を使っているのが特徴です。
北九州を発祥とするかしわ天のトッピングや焼うどんなども用意しており、地元グルメを存分に活かした戦略で幅広い世代の人気を獲得しています。
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まとめ
うどんはメニューやトッピングの工夫次第でさまざまな味わいを生み出すことができる、自由度の高い食材です。
キッチンカーを活用して麺やだしにこだわって自分だけのうどんを提供すれば、うどんの新たな食べ方や魅力を各地に広げるきっかけにもなるでしょう。
ぜひこの機会に、うどんのキッチンカーを開業してみてはいかがでしょうか?