自身が生産した野菜の移動販売(移動式の八百屋)は営業許可が不要で、店舗を構えるよりはるかに始めやすい販売手法です。
軽トラひとつで始められるので、農家の人は必見です!
今回は開業の手順や成功の秘訣まで、役立つ情報をまとめてお届けします。
実際に成功している野菜の移動販売もご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
【はじめに】野菜を移動販売するために必要な資格や許可
野菜を移動販売するためには、資格や許可が必要な場合があります。
販売するものや生産者かどうかによって変わるため、注意しましょう。
野菜だけを販売する場合
自身が生産した野菜だけを販売する場合、特別な資格や許可は必要ありません。
一方で、生産者以外が野菜を仕入れて販売する場合は、保健所に「野菜果物販売業」の届け出が必要です。
手数料や有効期限、移動販売車についての条件は特にありませんが、届け出には「食品衛生責任者」の資格が必要なので事前に取得しておきましょう。
食品衛生責任者の資格は、食品衛生責任者養成講習会を受講すれば1日で取得できます。
なお、お米を販売する場合は、生産者であっても保健所に「米穀小売業」の届け出が必要なので注意してください。
加工品も販売する場合
野菜をサラダや漬物、ジャムなどに加工して販売する場合は、保健所の営業許可が必要です。
商品の加工を行う際には、衛生管理の行き届いた場所で調理するよう決められているので覚えておきましょう。
なお、許可を取るための詳細な条件は各自治体によって異なるので、加工品の販売を検討しているなら早い段階で相談することをおすすめします。
販売するメニューの内容などは、あらかじめまとめておくとスムーズでしょう。
移動販売の八百屋を開業するための準備
早速、移動販売の八百屋を開業する準備を始めましょう。
開業に必要な物や開業の手順、費用について説明していきます。
軽トラだけじゃない!開業に必要な物
移動販売の八百屋を開業するにあたり、必要な物は以下の通りです。
- 必要な資格や許可
- 軽トラ
- 損害保険
なお、損害保険には「自動車保険」と「PL保険」があります。
PL保険とは、生産物賠償責任保険とも呼ばれ、販売した商品でお客様に損害を与えた場合に備える保険です。
野菜だけでなく、加工品の販売もお考えの場合は加入しておくことをおすすめします。
また忘れがちなのが、販促や営業にあたる以下の準備です。
- POPやチラシなどの販促物
- SNSやホームページなどの発信媒体
販促物を利用して商品の魅力を伝えることで、売り上げアップが期待できます。
さらにSNSやホームページで情報発信することで信頼性を上げられるほか、集客や出店依頼する際にも便利です。
移動販売の八百屋を開業する手順
移動販売の八百屋を開業する手順は次の通りです。
- 必要なコスト・予算を踏まえ、事業計画を立てる
- 開業資金を用意する
- 必要な資格・許可の取得や手続きをする
- 出店場所を探す
- 移動販売車を用意する
- 損害保険に加入する
- 野菜の仕入れ先を決める
- 広告やSNSで宣伝する
詳しくは以下の記事も参考にしてみてください。
いくらかかる?開業に必要な費用
移動販売の八百屋の開業には、大体100~200万円かかります。
主な開業費用の項目は以下の通りです。
- 移動販売用の車両費
- 棚などの設備費・装飾費
- チラシやホームページなどの宣伝広告費
- 自動車保険やPL保険の保険料
このほかに、車両の維持費や出店料、加工品の販売も行う場合は加工品用のパッケージ費用などが加わります。
軽トラさえあれば販売自体は可能ですが、ある程度の売り上げを目指すなら、販促や広告、設備にお金をかけることも大切です。
実店舗の八百屋を開業するには500万円以上の費用がかかるのに比べれば、宣伝や設備にお金をかけても、移動販売なら手軽に開業できます。
野菜を売るだけじゃない?!成功する秘訣とは
移動販売の八百屋を成功させる秘訣は3つあります。
- SNSでの積極的な情報発信
- 他店と差別化できるコンセプト設定
- 加工品販売で単価を上げる
SNSで入荷状況や出店場所などの情報配信
移動販売の八百屋を成功させるには、積極的な情報発信が必要不可欠です。
SNSを用いて入荷状況や出店情報などの情報を配信することで、ファンを増やすことができるうえ、集客効果もあります。
また、メディアに取り上げてもらえる可能性も上がるので、SNSの設定は必ず行いましょう。
コンセプトを決めて他店と差別化する
野菜という身近なものを取り扱う以上、競合が多いのは言うまでもありません。
その中で一歩抜き出るためには、しっかりとコンセプト設定をし、他店と差別化することが重要です。
例えば、「無農薬」や「農家直送」、「珍しい野菜」などアピールポイントを明確にしてみましょう。
移動販売の八百屋を成功させるには、強みを活かした販売戦略が必要です。
加工品を販売して客単価を上げる
客単価を上げることも、移動販売の八百屋を成功させるための重要なポイントです。
野菜だけでは客単価が数百円に留まりますが、加工品を販売することで客単価の向上につながります。
さらに、加工することで賞味期限が長くなり、食品ロスを減らすこともできるほか、オリジナルの加工品を販売すれば他店との差別化にも効果的です。
許可を取る手間はあるものの、売り上げをアップさせるには加工品の販売も視野に入れてみるのはいかがでしょうか。
実は意外に多い!野菜を移動販売するお店
野菜を移動販売しているお店は意外と多くあります。
その一部をご紹介しましょう。
食べチョクカー
食べチョクカーは、産直通販サイト国内NO.1の食べチョクが運営している移動販売の八百屋です。
新鮮な野菜が自宅の近くで購入できるのはもちろん、スーパーには売っていない珍しい野菜も手に入ります。
日によって生産者とZoomで話せたり、気に入った食材は食べチョクサイトでリピートできたりと、工夫たっぷりの移動販売です。
ばんぶーおりぢなる
「気楽に有機野菜を食卓に」をモットーに、福岡市を中心に有機野菜の移動販売を行っている八百屋です。
有機野菜を作っている農家と直接契約しているため、オーガニックスーパーよりも安く、安定した供給を売りにしています。
つどや
手頃な価格で新鮮野菜を届ける移動販売の八百屋です。
各地域で「集う」場所を提供し、地域のコミュニティ形成にも取り組んでいます。
有機八百屋メルカド
有機野菜を専門に取り扱う移動販売の八百屋です。
農家直送の新鮮野菜を家庭で気軽に楽しんでもらうのをコンセプトに、醤油やみそなどの無添加調味料も販売しています。
移動販売の八百屋を開業するメリット・デメリット
移動販売の八百屋には、メリットとデメリットがいくつかあります。
これらを踏まえて、開業準備を進めましょう。
メリット
移動販売の八百屋のメリットは以下の4つです。
- 話題性がある
- 需要がある(買い物に不便な地域など)
- 初期費用が安い
- 必要な許可・資格が少ない
話題性がある
キッチンカーブームに乗って、移動販売の八百屋は話題性が高いと言えます。
SNSなどを利用してうまく情報配信すれば、多くの集客が見込めるでしょう。
需要がある
状況に応じて出店場所を変えられるのもメリットです。
週末はマルシェやイベントに出店し、平日は住宅地を周るなど、臨機応変な対応が可能なうえ、特にスーパーが近くにない地域では高い需要があります。
初期費用が安い
実店舗を構えるよりも移動販売のほうが初期費用を抑えられるのは大きなメリットです。
初期費用のほとんどが車両費なので、中古の軽トラであればさらに負担が少ないでしょう。
必要な許可資格が少ない
先ほど説明した通り、自身が生産した野菜だけを販売する場合は許可や資格は不要です。
野菜を仕入れたり加工品を販売したりする場合も、必要な許可や資格が少ないので開業するハードルが下がります。
デメリット
移動販売の八百屋のデメリットは以下の2つです。
- 天候で売上
- ないと競合に負けやすくなる
移動販売は天候に左右されやすく、売り上げが不安定なところはデメリットと言えます。
客足が悪いと売れ残る野菜が増え、鮮度が落ちて販売できなくなった野菜は廃棄せざるを得ません。
また、食生活に必要不可欠な野菜を取り扱う以上、他店と差別化できないと競合に負けやすくなります。
しかし逆に言えば、コンセプトをしっかり設定できていれば、野菜は需要が高いため売り上げを伸ばしやすいでしょう。
開業前に何を売りにするのかを考えておくのが重要です。
野菜を移動販売したい!移動八百屋の開業はMYキッチンカーへご相談を
移動販売の八百屋を開業したい場合は、MYキッチンカーへご相談ください!
MYキッチンカーは豊富な実績と経験をもとに、移動販売車の販売から出店サポートまでワンストップでご案内いたします。
また、お客様の希望に合わせて一から移動販売車を作り上げることも可能ですので、他社との差別化を図れるのも強みです。
移動販売を開業する際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
移動販売の八百屋の開業は、手続きで言えばそれほど難しいことはありません。
大切なのは、どんなコンセプトの八百屋にするかというブランディングです。
記事内で紹介した移動販売を行っている八百屋の運営方法も参考に、開業準備を進めてみてください。